岐阜県美術館の名宝、福井に 10月31日まで福井県立美術館で「名品展」

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川合玉堂「日光裏見瀧」(1903年頃)

 福井ゆかりの岡倉天心が創設した日本美術院を横山大観らと共にもり立てた川合玉堂。天心亡き後の再興院展の中核を担った前田青邨。これら日本画の巨匠を生んだ岐阜は、美濃焼をはじめ陶芸の人間国宝を輩出した地でもある。岐阜県美術館所蔵の日本画41点と人間国宝の陶芸5点を紹介する企画展「ももきねの美 清流の旅~日本画の巨匠と陶芸の人間国宝~」(福井新聞社共催)が福井県立美術館で開かれている。

 川合玉堂は京都で円山四条派の画法を学んだ後、狩野派の橋本雅邦に師事し、雅邦や大観らと共に日本美術院創設に参加。両派の特長を融合し、写実性と叙情性を併せ持つ風景画を生みだした。好んでモチーフにしたのが、多感な少年期を過ごした岐阜の自然。長良川の鵜飼いや養老の滝を描いた作品を残した。

 安田靫彦、小林古径と並び「再興院展の三羽がらす」と称されたのは、岐阜県生まれの前田青邨。武者絵に定評があり、かっちゅうや武具の細密描写がさえる。時代考証に基づくリアリティーと日本画特有の線描写の美は、「にごりを取りなさい」との天心の言葉に発奮した若き日の経験が原点にある。玉堂の孫弟子の奥田元宋、当代きっての日本画家で岐阜県生まれの土屋礼一氏(日展副理事長)らの作品も並ぶ。

 陶芸では、岐阜県出身の人間国宝5人の名品を紹介している。北大路魯山人のもとで作陶した荒川豊蔵は、志野焼の復興に尽くした巨匠。桃山時代に生まれた後、こつぜんと消えた幻の志野焼の発祥は瀬戸という通説を覆し、美濃で焼かれたことを実証した。ペルシャの古陶を研究し、幻の名陶「ラスター彩」や、いにしえの色彩と名高い「三彩」の技法を復活したのは加藤卓男。白い陶肌に浮かぶグリーンと黄色の模様が美しい三彩の花器を展示している。

 企画展タイトルの「ももきね」は万葉集にある美濃国を詠んだ歌の枕ことば。「あまた」を意味するとされる。福井県立美術館の原田礼帆学芸員は「古きに学び、風土に根ざしたあまたの美を生みだした作家の名品を見て、自然豊かな岐阜を旅する気分に浸ってほしい」と話す。

 10月31日まで(同12日休館)。一般・大学生千円、高校生600円、小中学生300円。本展チケットで同時開催の所蔵品展「見せます、魅せます 日本の美 うつくしの逸品」も鑑賞できる。県立美術館=℡0776-25-0452。

EVENT INFORMATION
会場福井県立美術館
住所福井県福井市文京3-16-1
日程 2021年9月18日(土) ~ 2021年10月31日(日)
時間午前9時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
お問い合わせ先福井県立美術館 0776-25-0452