サーフィンの日向プロの女子準々決勝で、脇田紗良を破り3位に入った都筑有夢路=宮崎県日向市のお倉ケ浜海水浴場

 2019年12月21日は、日本のサーフィンの歴史が塗り変わる一日となった。

 来季のサーフィンのプロ最高峰チャンピオンシップツアー(CT)に、18歳の都筑有夢路が、日本女子史上初めてフル参戦することが決定。日本人では、男子の五十嵐カノア(木下グループ)以来2人目の快挙だ。

 今季の予選シリーズ(QS)年間ランキングでは8位で、CT昇格条件の7位にあと一歩足らず涙をのんだが、シード権を持つ選手が来季全休することになり、繰り上がりが決まった。

 順位確定後の意外な展開に、「結果は努力を続けたご褒美」と話していた都筑の姿が浮かんだ。

 9月にスペインで行われたQS最高位の大会を制し、一躍名を挙げた。この大会で「良い緊張の持って行き方」をつかんだという。

 普段は穏やかな表情で取材に応じる都筑だが、試合直前、目つきは一瞬で鋭く切り替わる。

 10、11月とQSの大会を取材した際、その言葉を裏付けるような、集中力をみなぎらせた姿が強く印象に残った。

 元々は、良い波を相手選手に譲ってしまっていたほどの優しい性格。母・良子さんは「こういう競技をするタイプだと思っていなかった」と語る。

 プロ選手の兄・百斗の背中を追って始めた都筑は「最初はお兄ちゃんにくっついて、おまけのような感じで練習していた」と振り返る。

 国内では、今年の世界ジュニア選手権18歳以下の部2位の野中美波や、4位の脇田紗良ら実力者がそろい、世界的にも競争の激しい年代。プロになった当初は、なかなか結果が残せなかった。

 それでも高校入学後、自分の将来像をあらためて考える中で「サーフィンで戦い続けたい」と思いを新たにしたという。

 トレーナーとともに筋力トレーニングを見直し、悪条件の海でも練習して対応力を磨いた。

 「負け続けたことが今につながっている」と言うように、過去の試合展開を頭に入れて戦術の幅を広げ、試合前の集中方法も確立した。QSで見せたスイッチの切り替えも、努力のたまものと言える。

 都筑が一貫して口にするのは「自分のサーフィンに対する自信」だ。「CTで優勝できる力はある」と明言し、CT入りが決まっていなかった時点では、「来年QSで1番になり、再来年CTに入る」と明確な目標を語っていた。

 そのぶれない発言の根底には、長年地元・鵠沼や千葉の海で多くのサーファーらに見守られ、励まされてきた経験がある。

 「こつこつ努力する子だから、応援したくなる」と、その人柄を評価する支援者もいた。

 注目の高まりとともに、より多くの支持を集める選手となり、自信も深めていく。そんな好循環を保ちながら、成長を続けてほしいと切に願う。

 東京五輪予選を兼ねる来年5月のワールドゲームズ日本代表に選ばれ、日の丸を背負って戦うことになった。

 憧れのCTに挑むシーズンに、五輪という新たな目標も加わった形だ。

 「重圧はもっと増えると思う。そんな経験ないから、悪い影響はうまく受け流したい」と不安半分、期待半分のようにも見えた。

 日本で生まれ育ち、日本の海で世界と戦う力を磨いてきた。

 千葉で競技が行われる五輪は、支えてくれた人に成長を示す絶好の機会でもある。

 「五輪でメダルを取れば環境が変わる。これからの子どもたちに良い環境ができ(周囲が)スポーツとしてサーフィンを見てくれるようにもなる」と、意欲十分だ。

 日本女子のパイオニアとして、大きな一歩を踏み出す一年。どんなサーフィンを見せてくれるのか。活躍が楽しみだ。

岩沢 隼紀(いわさわ・じゅんき)プロフィル

2015年に共同通信に入社し、岐阜、さいたま支局で警察、司法などを取材。19年5月から運動部。東京五輪の種目ではサーフィンと自転車を担当している。東京都出身。

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