【ドクター相談室】甲状腺に腫瘍、良性でも手術必要?

 5年ほど前に、風邪で受診した際、甲状腺が腫れていると医師に指摘されました。自覚症状はなく放置していましたが今年、耳鼻咽喉科で「腫瘍が大きくなっている。首の周辺を切開する手術が必要」と言われました。手術の跡が残るのは避けたいです。甲状腺の腫瘍とはどんなもので、どんな手術方法があるのでしょうか。(40代女性)

【お答えします】大澤陽子・福井赤十字病院耳鼻咽喉科部長

■まず悪性か良性か判別 摘出望ましいケースも

 甲状腺は頚部(=首)前方にあり、蝶ネクタイのような形をしています。甲状腺が腫れる原因としては、炎症(橋本病やバセドウ病など)や腫瘍があります。炎症は甲状腺全体が腫れていることが多く、超音波検査で腫瘍と容易に区別ができます。腫瘍は超音波検査で結節として発見され、結節が悪性(がんや悪性リンパ腫など)である頻度は3~8%といわれています。悪性の場合、甲状腺周囲のリンパ節も腫れていることがあります。

 甲状腺周囲のリンパ節が腫れていない場合でも、小さな腫瘍と比較して、腫瘍が3~6センチになると悪性の可能性が高くなります。悪性か良性かを判別するためには、穿刺(せんし)吸引細胞診(FNA)を実施します。FNAの診断感度は5割程度であるため、FNAで良性の判定でも、腫瘍の大きさが3~6センチの場合は悪性の可能性もあり、摘出手術した方がいいといわれています。

 逆に6センチを超えると悪性の可能性は低くなりますが、腫瘍が前方に大きくなると頚部が腫れて審美的に問題となり、深部に大きくなると気管や食道を圧迫するので、摘出手術をした方がいいでしょう。摘出手術をしない場合は、超音波検査で腫瘍の大きさの変化を定期検診することをおすすめします。

■内視鏡手術も選択肢 鎖骨下を小さく切開

 一般的な甲状腺腫瘍摘出手術は、甲状腺直上の皮膚を5~8センチ切開して行います。切開は皮膚割線にそって行うため、傷痕はしわのようにみえます。

 最近では、内視鏡補助下頸部手術(VANS法)も普及しています。VANS法は、鎖骨下皮膚に2・5センチの小さな切開を入れて手術操作をします。甲状腺直上の皮膚には内視鏡の入る5ミリ程度の切開のみなので、首元が大きく開いた服を着ても傷痕が目立ちません。VANS法は4~5センチ程度までの良性腫瘍、比較的小さなバセドウ病、リンパ節転移がなく甲状腺外に突出していない1センチ以下の甲状腺がんが対象になります。

 相談者の腫瘍は大きくなってきたとのこと。3センチを超えている場合は、摘出手術も考えた方がいいですね。腫瘍の大きさが4~5センチ程度までならVANS法も検討してみてください。お近くの医療機関にご相談ください。

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