【論説】国連永久大使のアンワルル・K・チャウドリー氏(76)が先日、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」推進のため来県した。中でも女性の地位向上について、鯖江市会議場での演説などを通し、重要性を強く訴えた。女性問題の第一人者である同氏の発言に、改めてジェンダー平等に向け、われわれ一人一人が何か行動すべきだと考えさせられた。

 SDGsは国際社会が2030年までに達成すべき目標として、国連が15年に採択した。17項目の目標から成り、その一つが「ジェンダー平等を実現しよう」だ。ほかに「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」なども並ぶ中で、チャウドリー氏は演説で「ジェンダー平等が中核にならなければ、全ての目標は達成できない」と力説した。

 「人類の50%は女性だ」との発言もあった。半数を占める女性の課題を置き去りにしたままでは、あらゆる問題が真の解決に結び付かないという示唆だろう。国連事務次長などの要職を歴任した同氏の重厚な口調には、女性問題への取り組みを急がなければならないとの決意がこもっていた。

 「地方自治体などローカルな現場の協力なくしては、SDGsの達成は難しい」という点も、何度も強調していた。地球規模の課題に対し、地方の視点を持って取り組むことの大切さを説いた発言だ。国連と聞くと、あまりに大きすぎて、われわれとは懸け離れた存在のように感じてしまうが、チャウドリー氏は「そうではない。世界中の人たちが今、SDGsを自分ごととして捉え、行動することが求められている」と訴えたかったのだろう。

 まさに地方に住む者として、私たちに何ができるのか。先駆的な取り組みを認められた鯖江市が本年度、内閣府の「SDGs未来都市」に選定されたように、行政の施策は重要だ。一方で、民間にも果たせる役割があるはずだ。

 先頃、本紙の連載「福井人の不幸せ」は、県内の女性の負担が大きい実態を、当事者の生の声で伝えた。「嫁はやりたい仕事を犠牲にし、家族のため身を粉にしてパート、家事、育児に明け暮れる」といった訴えが聞かれた。また今年、女性の重すぎた介護負担が原因と思われる殺人事件も県内で発生している。

 女性の活躍には、好きな仕事や地域の活動に打ち込む、会社で出世する、など多様な形があるだろう。いずれにせよ、まずは一人一人が家庭や職場で身近にいる女性に思いを致し、その人の活躍を阻害する要因を自分が何かつくっていないか、見つめてみてはどうだろう。小さな一歩だが、みんなが踏み出せば社会が変わるきっかけになる。

関連記事