翌日の来店者数の予測データが示されているパソコン画面=福井県福井市松本3丁目の御素麺屋

 和洋菓子製造販売の御素麺屋(本社福井県福井市松本3丁目、小寺洋太郎社長)は、人工知能(AI)を活用した来店客数の予測システムを導入した。過去3年分の日々の来客数、翌日の天気や気温などの気象情報、曜日などから、翌日~45日後の来客数をはじき出す。本格導入からまだ1カ月だが的中率は約9割で、食品廃棄ロスの軽減や従業員の適正配置に威力を発揮している。

 三重県伊勢市で食堂や土産物店を営む「ゑびや」が開発したAIシステムを導入、11月から運用している。同社は自社の食堂でシステムを活用し、売上高や利益率を大幅に伸ばし、開発したサービスを全国の小売店や飲食店に販売している。小寺社長(38)が昨年12月、ゑびや社長の講演を聞いたのをきっかけに導入を決めた。

 松本本店、大和田店、堀の宮店(いずれも福井市)の全3店舗で運用。例えば、11月28日の松本本店の来客数は、前日に119人と予測し、実際は115人で的中率96・6%だった。午前9時半の開店から同11時まで、同13時までというように2時間ごとの来客数も予測する。小寺社長は「的中率は90%前後。外れることもあるがAIが学習して次第に精度は上がっていくだろう」と話す。

 従来は経験と勘で来店者数を予測し、商品を発注していた。予想以上に来客が多くて品切れし販売機会を失ったり、商品を作りすぎて廃棄したりということがあり、従業員のモチベーション低下を招いていたという。事前の商品準備を高い精度で行うことで、売り上げ確保や廃棄ロス削減につなげたい考えだ。

 また、来客予測は従業員の勤務シフト作成にも役立つ。11月は仕事の繁閑をみながら人員を配置し、有給休暇の取得が図られたという。

 320年の歴史を持つ御素麺屋の15代目社長に7月に就いた小寺社長。AIシステムの導入に当たっては、県事業引継ぎ支援センターの支援を受け、国の事業承継補助金を活用した。小寺社長は「創業以来、長く続けてこられたのは時代に合わせ、自ら変化してきたから。経験や勘は大事だが、AIやIoTといった新しい技術も採り入れ、顧客サービスや従業員満足度を高めていきたい」としている。

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