スマホ世代、割り切った友人関係?【ゆるパブ】

 スマホ世代の実像に迫るトークイベント「ゆるパブオフ会in若狭高校」。前回の記事では政治評論家・竹田恒泰氏を好きな男子生徒が登場。YouTubeを通して竹田氏の考え方に感銘を受けるものの、友だちや親に竹田氏の良さを共有するつもりはないという言葉に少し驚かされた。41歳である筆者の高校時代ならば、気に入ったことを友だちにお薦めすることで仲良くなった経験があるからだ。お薦めしないのは、彼の性格?それとも、竹田氏が高校生にとってあまりなじみがないから? とも思ったが、高校生たちと話を進めていくと、そこには世代の違いを感じさせる傾向があった。

 ■合わせなくていい

 筆者が高校時代の頃は、友だち同士の情報交換はとても重要だった。漫画、音楽、ゲーム…。学校の友だちに薦めて、一緒に「いいね」って思うことで仲が深まった。「センスいいでしょ、こんなの知らなかったでしょ」みたいな承認欲求があったのかもしれない。向こうも内心ではありがた迷惑だと感じたり、薦めたものを気に入らなかったりしたこともあったかもしれない。でも、「いまいちだったね」とか「別に興味ない」みたいな反応は記憶にない。親切にも合わせてくれていたのかもしれない。筆者が薦められた立場の時も同じだった。そうやって仲間意識を保っていた。

⇒【前回】「竹田恒泰氏がお気に入り。でも…」

 しかし今は違うようだ。「結構みんなバラバラで、合わせるっていうことは基本ないです」と3年生女子。例えば友だちグループと話していてジャニーズのアイドルの話で盛り上がっても、興味がなければ参加しなくてOK。「全然興味ないし、何言ってるか分からんし」と迎合する気はさらさらないそうだ。ほかの生徒たちも同意見だった。

 これには生徒たちと同郷の若新雄純・慶応大学特任准教授も驚いた様子。「僕もこの高校で育ったけど、人間関係は数が限られてるじゃん。都会と違って、合わないからといってどんどんころころ変えていけるわけじゃないじゃん。人数限られてるから。だから、できた集団とか、仲間との関係を崩してはいけないというのがすごい強かったのと、そこからはみ出してしまったら一人になるんじゃないかという不安があったりして、まず頑張ってあわせるわけ。聞く音楽とか、やるゲームとか。」「合わせなくてもいいっていうぐらいのグループになったのは、卒業寸前くらい。ずっと仲良くしていた友だちが、『あ、俺帰るわ』とか『俺はこっちにするわ』とか『いや、実は俺こっちの方が好きなんだよね』っていうことをちゃんと言うようになったのって、もうバラバラになるよねみたいになるので、進学先が決まったりとか、ちょっと大人になってくることを感じて、いつまでもこのグループと一緒じゃないんやっていうことが見えるまでは、合わせてたよ。服装もやし、変な話、歩き方とかも合わせてたよ。今はグループが合わせるものではないっていうことね」。高校生たちはその話を聞いて驚いた様子だった。

 ■先生は心配?

 「結びつきがある意味、弱いんかな」。高校生の話を聞いた先生はつぶやいた。筆者も同じ印象を受けた。同じ価値観を持ち、そのことを確認しながら人間関係を深めていくことしか知らなかったから、今の高校生はどのように友だちとの結びつきを深めているのか、と。

 それに答えてくれたのは3年生の女子。「学校では私含めて6人のグループでいることが多いんですけど、学校以外で遊んだことないんですよ。私が基本、土日とか長期休みに遊ぶ子は、全然違うクラスの子やって、その子は話してて会話が途切れないし、基本価値観は一緒。学校以外ではそういう子と会いたい。学校だったら、いろんな子おってもいいかなって感じになってるんかなって思います」。

 大人だ、と思った。筆者の高校時代はクラスの友だちが交友関係の大部分を占めていてた。しかし、今の高校生にとってクラスの友だちはクラスの友だちでしかなかった。交友関係のほんの一部にすぎないようだ。部活内での友人関係についても、運動部に2年生男子は「全然遊ばないです。部活の中だけの関係。僕は部活とプライベート別なんで。部活の友だちには言えんようなことを、他の友だちに言ったりします」と割り切っていた。

 ■おひとりさまでも大丈夫

 2年生の男子は合わせるのが苦手だという。「僕は結構1人で動いちゃうタイプで、もともと小学校ぐらいのときから、合わせてるのがちょっと嫌やなと思い始めて、それで孤独になり始めたときがあって。最初はめっちゃ悲しかったけど、その中で1人で動くのが楽やなってことに気づき始めて」。

 放課後、談笑しているクラスメートもいるが、彼はすぐに家に帰ってゲームを楽しんだという。「だから今もそうやと思うんですけど、けっこううわべだけの付き合いというか。今は結構、(友だちに)忖度してますけど」。

⇒【前回】「竹田恒泰氏が好き。でも…」

 「うわべだけの付き合い」。正直、高校生からそんな言葉を聞くとは思わなかった。それって、昔に比べ友人関係が希薄になったということだろうか。

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 この記事は11月18日に福井県立若狭高校で開いたトークイベントの詳細をシリーズで紹介します。次回は12月20日に「福井新聞ONLINE」で掲載します。

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