映画「午前0時、キスしに来てよ」の音楽を手掛けた林イグネル小百合さん=11月17日、福井県永平寺町内

 女優橋本環奈さんと、人気男性グループのボーカル片寄涼太さんが主演する映画「午前0時、キスしに来てよ」(12月6日全国公開、配給松竹)で、福井県永平寺町出身の作曲家、林イグネル小百合さん(31)=ストックホルム在住=が手掛けた楽曲約30曲が使用されている。国民的スーパースターと女子高生が恋に落ちる「胸きゅん」感や切ない恋模様を、ポップな曲からピアノソロまでさまざまな音楽で演出している。

 映画は、漫画家みきもと凜さんが「別冊フレンド」(講談社)で連載中の人気コミックの実写版。スターの綾瀬楓役をGENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカル片寄さんが、女子高生の花澤日奈々役を橋本さんが務める。ベテラン俳優の遠藤憲一さんらが脇を固める。

 林イグネルさんは、信州大教育学部を卒業後、スウェーデンの音大へ。同国の小中一貫校の音楽教師として指導に当たる傍ら、演奏会や作曲に取り組んできた。14年にはノーベル賞授賞式に合わせてノーベル博物館で開かれた特別展示に音楽を出品。近年は作曲活動に軸足を置き、国内のコマーシャルやドラマ、テレビ番組のBGMなど数多く手掛けている。

 今年1月から日本の音楽事務所「グランドファンク」に所属。映像や美術空間など他ジャンルと融合したメロディーに定評があり、白羽の矢が立った。短編映画を担当した経験はあるが、長編映画は初めて。今年6月ごろから原作の漫画や台本、映像を見てイメージを膨らませた。

 2人が恋に落ちていく高揚感や切ない恋心…。シンセサイザーを使って「基本的に即興で」音を重ね、弦楽器は生音を乗せていった。せりふだけの映像に音楽を乗せる試行錯誤に「音楽一つで映像の印象ががらりと変わる。改めて責任重大」と感じた。1日3曲ほど作っては修正を繰り返し、約60曲を制作した。

 「長編映画の作曲は時間との闘いで大変だったけれど、自分一人では超えられない限界を超えられた」と振り返る。11月中旬、東京都内で開かれた試写会で完成した映画を見て「周りの観客から、笑い声やすすり泣く音が聞こえ、すごく楽しんでもらえた。作品に関われてうれしい」と喜んだ。

 今後は音楽で空間をデザインするサウンドスケープや、地元福井県の公共交通機関の到着音などに挑戦してみたいという。「なかなか地元で活動する機会がないけれど、映画を通して音楽を楽しんでもらえたらうれしい」と話した。

 林イグネルさんが手掛けた21曲や、片寄さんら劇中のアイドルグループの楽曲など計26曲を収めたオリジナル・サウンドトラックが12月4日、映画公開に先駆け全国で発売された。

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