【越山若水】文部省唱歌「ふるさと」は誰もが知っているだろう。子どものころ歌い出しの「兎(うさぎ)追いしかの山」を「兎が美味(おい)しいかの山」ってどこにある山? と取り違えていた苦い経験もある▼この名曲を替え歌にして愛唱している学校がある。島根県立隠岐島前(どうぜん)高である。日本全国、さらに世界各国から入学生を受け入れる「島留学」で広く知られる。同校の卒業式では、地元町長の要請を受けて10年以上前から「ふるさと」を歌うことが習慣になっている▼原曲の3番の歌詞は「志を果たして いつの日にか帰らん」である。これを「志を果たしに いつの日にか帰らん」と1文字だけ変えて合唱する。おかげで高校所在地の海士(あま)町では、都会に出た若者が故郷で夢を実現しようとUターンし、活気にあふれているという▼遠く離れた故郷を懐かしむ「ふるさと」は、別のところでも歌われている。北朝鮮による拉致被害者の救出を支援する「救う会」は、集会の最後に全員で唱和する。「いかにいます父母 つつがなしや友がき」。被害者の望郷の念に寄り添い、早期帰国を願いつつ…▼小浜市の拉致被害者、地村保志さんが越前市の中学校で講演した。拉致された24年間の苦悩の日々を語り「解決のために協力してほしい」と生徒たちに訴えた。今もなお北朝鮮に残された人たち。こちらは「志を果たして」帰ることを願うばかりだ。

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