福井県越前市の中学生に拉致問題について語る地村保志さん=12月4日、同市の武生第六中学校

 北朝鮮による拉致被害者、地村保志さん(64)=福井県小浜市=による拉致問題の啓発講座が12月4日、福井県越前市の武生第六中学校で開かれた。地村さんが小浜市外の小中学校で子どもたちに経験を語るのは初めて。地村さんは「皆さんが大人になってから解決する問題ではない。なぜなら、そのときには悲しい歴史の問題になるから。拉致被害者が生きている今、解決しないといけない」と協力を呼び掛けた。

 小浜市と救う会福井が開いた。地村さんは昨年度から、拉致問題の風化を防ごうと小浜市内の小中学校に出向く啓発講座を始めた。本年度は県内の他の市町にも対象を広げて希望を募り、昨年に救う会福井の森本信二会長が講演した武生六中が、人権週間(4~10日)に合わせた取り組みとして開講を希望。2年生55人が耳を傾けた。

 冒頭、地村さんは「毎年、たけふ菊人形で署名活動をしていて、越前市民の皆さんからたくさんの署名を頂いている。小浜市外で最初にここで講演できてうれしい」と語りかけた。23歳から北朝鮮での生活を余儀なくされた24年間は「決して短くはなかった」と振り返ると、「私が拉致されたのは41年前、帰国できたのは17年前。皆さんのお父さん、お母さんでも拉致された当時のことは知らないだろう。おうちに帰ったら家族で拉致問題について話してもらって、署名運動などへの協力を呼び掛けてもらいたい」と問題が風化することへの危機感をにじませた。

 1978年、当時交際していた妻の富貴恵さん(64)と小浜公園の展望台で工作員に拉致された状況についても細かく説明。北朝鮮で富貴恵さんと再会できたときの喜びの大きさに触れ「北朝鮮で生き延びられたのは家族ができ、子どもたちができたから」と話し、13歳で拉致された横田めぐみさんら他の拉致被害者の精神的苦痛、苦労に思いをはせる場面もあった。

 聴講した生徒(14)は「拉致被害者の人たちに早く帰ってきてほしいと思った。地村さんから聞いたことを家族に話したいし、少しでも多くの人に拉致問題に関心を持ってもらいたいと感じた」と話していた。

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