【論説】地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約の第25回締約国会議(COP25)がマドリードで始まった。国連や同条約事務局は「温室効果ガス削減に対する野心向上のための会議」と位置付け、目標上積みの議論の促進を各国に求めている。

 翻って、日本はどうか。削減目標を現在と同じ「2030年度に13年度比マイナス26%」に据え置く方針とされる。世界5位の排出国がこれでは内外の批判を浴びるのも当然だ。9月にニューヨークで開かれた「気候行動サミット」で日本政府が安倍晋三首相の演説を要望したが、国連側から断られていた。二酸化炭素(CO2)の排出が特に多い石炭火力発電の推進方針が影響したという。

 環境団体によると、日本は12年以降、全国で50基の石炭火力発電所の建設を計画。うち既に15基が稼働した。国内では現在、100基以上が稼働中としている。国連は、日本が途上国の石炭火力発電建設に資金援助を続けていることも重く見たとされる。一刻も早くこうした政策を見直すことを内外に表明し、他国にも行動を促す必要がある。

 しかし、6月にまとめた温暖化対策の長期戦略では、策定過程で石炭火力発電の「長期的な全廃」案が提起されたが、産業界側の委員の反発で「依存度を引き下げる」に失速した経緯がある。閣議決定された長期戦略はエネルギーの転換や技術革新を重視したが、方法は曖昧であり、実現性に問題も残る内容だった。

 COP25の開幕を前に、国連環境計画(UNEP)は世界の温室効果ガス排出が今のペースで続けば、今世紀末の気温が産業革命前に比べ最大3・9度上がり「破滅的な影響」が生じるという報告書を公表した。来年に本格始動するパリ協定が掲げる努力目標の1・5度の上昇に抑えるには、排出量を年7・6%ずつ減らす必要があるとしている。社会や経済の大転換が求められている。

 各国政府はCOP25で野心的な削減目標を打ち出す可能性がある中、日本は何の方針も示せないのではないか。若さやユニークな発言で耳目を集める小泉進次郎環境相をもってしても、世界の落胆と批判を浴びる事態になりかねない。不十分な取り組みを痛感させられる会議になるだろう。

 COP25は先進国最大の温室効果ガス排出国である米国のトランプ大統領がパリ協定からの離脱を正式に通告した後だけに、残された国々がいかに団結して対策に取り組む姿勢を示せるかが問われている。日本を含め過去に例のない気象災害が続発しており、待ったなしの状況にある。日本政府は政策を大きく変える転機にすべきだ。

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