全国公募で後継者を募っている「レストランときわ」の店主夫婦=福井県大野市

 福井県で社長になりませんか―。福井県は後継者がいない県内の小規模事業所を対象に、全国公募で跡継ぎを募るプロジェクトを始めた。応募するU・Iターン希望者には、事業所で技術やノウハウを学ぶ研修期間中、県が報酬や手当を支給するほか、承継時の事業所の改装費用の助成など手厚い支援策も用意する。

 県事業承継ネットワークが県内企業を対象に、2017年に行った調査では、経営者が60歳以上で「後継者が決まっている」とする企業は57・8%にとどまる。一方、廃業を検討する企業は21・3%に上り、後継者問題が深刻化している。廃業などが将来相次ぐことになれば地域経済の衰退につながると考え、広く全国から募ることにした。

 対象となるU・Iターン者は、移住が可能な20歳以上50歳未満の男女。県内在住者でも応募できる。所定の用紙に希望事業所と応募動機などを記入して申し込み、書類選考、面接を経て決定する。

 各事業所で技術などを学ぶ研修期間は原則1年だが、事業継承に時間が掛かる場合、最長1年半まで延長することもできる。期間中は県内在住者を除き、県から月額20万円の支給があるほか、住宅、扶養、通勤に相当する費用も支給される。

 事業所に対しては県事業承継ネットワークなどが、承継の計画策定をサポートする。承継時の建物の改装や設備導入費用を支援する助成金(上限300万円)を活用することもできる。後継者の公募を希望する事業所は随時募集しているが、市町、商工会などの推薦が必要となる。

 公募での事業承継を希望する事業所は現在、2社が応募している。そのうちの一つ「レストランときわ」(大野市)は創業80年を迎えた老舗洋食店。2代目の店主(77)は、昨年から後継者探しを地元で行ってきたが、意中の人が現れず全国公募に切り替えた。「地域では後を継いでくれる人材がなかなかいない。全国から募った第三者に事業を譲り、新しい視点で店を続けていってもらえれば」と期待している。

 後継者募集の問い合わせは、県産業政策課=電話0776(20)0367。

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