【越山若水】豊かな森林が広がる日本では、古くから木材が生活に欠かせない素材として利用されてきた。福井市の県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館で今、同遺跡から出土した木製品を紹介する特別公開展が開かれ、戦国城下町における「木の利用」を解説している▼木は食膳具、将棋の駒などの遊戯具、建築部材などさまざまな製品に使われてきた。展示を見ると樹種ごとに巧みに使い分けていたことが分かる▼スギなどの針葉樹材は木目(もくめ)がまっすぐで加工しやすく、容器や建築材に利用された。殺菌性や防虫性のある成分が含まれ腐りにくいクリやヒノキは、柱材や便器の金隠しに用いられた。重くて硬いイスノキは割れにくく櫛(くし)の材料に多用された。漆器の場合、耐久性の高いケヤキは上質な品に、ブナやトチノキは普及品に使われた。木の利用はまさに「適材適所」だった▼人間の世界でも適材適所は大事だ。この言葉を安倍晋三首相は内閣改造などで好んで用いた。ところが、わずか1カ月の間に2人の閣僚が辞任する事態に。「適材適所の観点から任命したが、国民におわびしたい」と謝罪した▼悪いことは続く。今度は、9月に就任した自民党の農林水産副大臣が代表を務める選挙区支部が、一昨年の衆院選のさなかに国の公共工事を受注していた地元企業から寄付を受けていたことが分かった。政治家の言葉は、ますます軽くなる。

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