株式会社 福井銀行 代表執行役頭取 林 正博氏

 福井の地域経済を支え続け、福井銀行は今年で創立120周年を迎える。超低金利が長引く逆風を逆手にとるように、創立時の企業理念に立ち返って、意識と行動改革を推進。業務の幅を広げながら、県内各地のまちづくりなどにも積極的に関わって、その存在感を高めている。

(聞き手/吉田真士・福井新聞社代表取締役社長)

 

企業理念に立ち返り行内の改革を推進。 

吉田 近年、いろいろと新しい取り組みをされている印象ですが、4月に人事評価から営業ノルマを廃止すると発表された時は驚きました。

林 全国的に金融機関にとって厳しい環境が続きますが、だからこそ目先の数字にとらわれすぎてはいけません。福井銀行の企業理念は「地域産業の育成・発展と、地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」なのですが、今こそ理念に立ち返り、お客さまの声をしっかりと聞いて、中長期的な視野で考え、行動することが望まれます。福井銀行の存在は福井県があってこそ。福井を元気にしていくのは、私たちの使命です。例えば、地元の企業が活性化すれば雇用が広がり、働く人が増えれば私たちのお客さまも増え、結果的に私たちの活躍の場も広がるはずです。大切なのは、そういった時に役に立てる銀行、選ばれる銀行であることです。そのために職員ひとりひとりのスキルや人間力を高めていくことが重要です。
 
吉田 一般的に銀行や銀行員には堅いイメージがありますが、より柔軟に、献身的に動くことを求めているわけですね。

林 受け身ではなく、常に考え、率先して行動することが理想です。主に若手職員向けに昨年11月、「人づくり塾」という勉強会をスタートし、仕事のスキルだけでなく人間力を向上させ、自立的に行動をしていこうと話をしています。一方で支店長クラスには部下の意見をくみ上げるマネジメントの指導を続けています。銀行には堅いイメージがあるかもしれませんが、かなり意見を言い合える自由な雰囲気になったと感じています。
 
吉田 今年の夏にオフィスカジュアルを始められたことからも、確かに自由さがにじみ出ていますね。

林 現場から出た提案です。働きやすさを優先して行内の一部をOKにしました。今後も積極的に職員たちの意見を採用していきたいと思っています。

 

福井銀行は、繊維などの地場産業支援のために、地元有力者が出資して設立された。「だからこそ、地元経済への貢献は私たちの存在意義そのもの」と林頭取。

 

コンサルティング、人そのものを強みに。 

吉田 変えるべきものは変える、というスタンスですね。業務の面ではいかがですか。

林 預金残高や中小企業向けの貸出残高、預かり資産保有先数といった数字は増えていますが、それだけでは成長できない環境です。まず取り組むべきは、コンサルティング機能の強化。お客さまの話をしっかりと聞き、今本当に必要なものを整理して、的確な課題解決の方法を提案していきます。資産運用や経営改善、事業承継、M&Aなどご相談は多岐にわたるので、職員のスキルアップを進めると同時に、昨春にはコンサルティング業務を専門とする組織も設けました。

吉田 個人の人生や企業の将来を左右するという点で、お客さまとの踏み込んだ関係づくりが大切ですね。

林 だからこそ職員は知識の幅を広げ、人間性を磨くことが重要なのです。銀行は商品を販売したとしても、それは終わりではなく始まり。お客さまとのお付き合いは一生続くので、「その時良ければいい」という考えでは通用しません。

吉田 じっくりお客さまと向き合うためには、マンパワーが必要です。

林 そのためには営業人員を増やすことが不可欠です。店舗の統廃合も含めて業務を見直しながら、体制をより充実させていきます。AIの導入なども、結果的にはお客さまとの時間づくりにつながると考えています。

 

新本店、西口再開発。福井のまちと共に。 

吉田 今年オープンした永平寺の宿坊をはじめ福井駅の西口再開発など、まちづくりにも積極的に関わっていますね。来年12月にオープン予定の新しい本店も、まちの雰囲気をガラッと変えてくれそうです。

林 新本店は福井の伝統産業の繊維をイメージしたデザインで、内装には越前和紙やスギ材など県の特産品を使います。県外からのお客さまには福井の産業を知ってもらえる場に、県内のお客さまにとってはいつでも気軽に立ち寄れる交流スペースになればと考えています。西口再開発は福井を元気にするまたとないチャンスです。4名の職員を派遣していますが、今後も地域の持続的発展につながる協力は惜しみません。

吉田 地元への貢献ということでいえば、一緒に電子マネーカード「JURACA」にも取り組んでいただいています。利用額の一部が福井県に寄付されるシステムなので、より多くの県民に知ってもらい、使ってもらいたいですね。

林 そのほか福井新聞社と一緒に取り組んでいる「考福塾」や「ミラカナ」も順調です。9月には福邦銀行と連携を検討していく発表をしましたが、これからもいろいろなところと協力して強みを活かしながら、業績の拡大、そして福井の発展を目指していきます。

 

 

株式会社 福井銀行

本社/福井市順化1-1-1
TEL.0776-24-2030(代表)
https://www.fukuibank.co.jp
創業/1899年(明治32年)12月19日
事業内容/預金、貸出、内国為替、外国為替、その他の付随業務

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