カンボジア・プレアビヒア州で進む井戸掘削の作業=10月

 設備工事業のテラオライテック(福井県越前市)が国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)に基づく取り組みとして、カンボジア北部プレアビヒア州の水インフラの構築を支援している。2019年5月に現地法人を設立して食用淡水魚の養殖を始め、収益を上下水道整備費の原資として州政府に寄付、あらためて同社が工事を受注する仕組みを目指す。同社は「社会課題の解決と経済成長を両立させたい」と話している。

 同社の寺尾忍会長(41)が専務理事を務めた日本青年会議所(JC)が、2017年度に現地で食用淡水魚ティラピアを養殖し、収益で井戸を掘る事業を実施。同社が「1年限りで終わらせず、まちのインフラ整備につなげたい」と事業を継続し、内容を発展させた。

 事業計画では、約8千万円を投資して5年間かけて養殖池を順次増設。近隣の大都市までを商圏に含め年間2億円程度の売り上げを見込み、5年目で投資を回収し、6年目からは収益全額を上下水道の整備費として州政府に寄付する。それまでに州政府と上下水道の整備計画を策定し、計画に基づいて同社が工事を受注していく予定。

 投資回収を待たずに養殖事業の収益の一部は、井戸掘削の継続にも充てる。19年度内に井戸100基を設置する計画で、10月末現在で約40基を完成させているという。

 同社では「自分たちの国のインフラは自分たちの手で整備できるように」と、カンボジアの若者も採用。3年後には現地法人でインフラ整備のリーダー役となることを前提に、今年12月からは2人が越前市の本社で働いて上下水道工事の経験を積む。

 同社によると、現地は乾期になると飲み水確保が困難。遠方の水場までの水くみは子どもたちの仕事のため、水環境整備は教育問題の改善にもつながる。そのためにも同社は事業の持続可能性を最重要視する。

 寺尾会長はSDGsの取り組みは「今後、企業の価値を計る物差しになる」とした上で「単なるボランティアにとどまらず、取り組みを本業につなげ、社会課題の解決と経済成長を両立させて事業を継続させていきたい」としている。

 同社の取り組みは、9月に発表された一般社団法人「SDGsプラットフォーム」(東京)の第1回SDGsビジネス大賞のパートナー賞を受賞した。

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