【論説】皆と同じでなくても自分は自分でいい―。学校生活の中で自信を取り戻し、目標に向かって一歩踏み出した高校生たちの言葉には力強さがあった。小浜市内で先月、県高校定時制通信制連合文化祭の生活体験発表会があった。発表した10人は新たな学びの環境を求めて定時制、通信制の高校を選択。不安を抱えながらも、自分らしく過ごし「私は変われた」と胸を張る姿は輝いていた。

 生徒たちはさまざまな過去を口にした。「中学時代に人との接し方が分からず、いつも一人だった」「心の病気。教室に10分いるのがやっとだった」。障害を持つ自分に自信を失って不登校になり「こそこそと生きていくことが多く、絶望して将来をあきらめていた」「私なんてなくなってしまえばいいと後ろ向きに考えていた」など、それぞれが苦悩を抱えていた。

 再出発をかけて選択した道は「やりたいことを自分のペースでできる環境」だったという。経験の積み重ね、人との出会いが運命を変えるきっかけとなった。

 ある女子生徒は多様な経歴を持つ同級生たちの姿から学び「だれかに無理に合わせなくてもいい。自分らしく過ごせればいいと気持ちに余裕ができ、自分の将来に向き合えるようになった」と話し、社会福祉士になることが夢だと語った。

 生徒会役員になり、スポーツ大会で1年生に積極的に声をかけチームをまとめた男子は「周りに頼られる人になりたい」と決意。人との交わりが苦手だった別の女子は、アルバイト先で気に掛けてくれる上司らに勇気を持って自分の意見を言えたことが転機となった。「自分を変えてくれた先輩に恩返しし、一緒に働きたいと思った」。その会社から内定をもらい卒業後は正社員になる。

 スイーツゼミを選択した女子は、いつも評価が厳しい先生をうならせることを目標に努力。達成したときは人に認められる喜びを実感し「将来は医療事務の仕事に就きたい。来院した人とコミュニケーションをとりたい」と新たな目標へ突き進む。

 「道から外れて普通じゃなかった」「失敗」。生徒たちは定時制、通信制高校に入る前の状態をこう振り返る。何事も思う通りにいくことは少ない。だれしも失敗を繰り返し、ちょっとずつ前に進むことができる。苦悩し立ち止まった経験は後で笑えたらいい。生徒たちが語った成長の軌跡は後輩たちにとっても、会場で聞いていた大人にとっても、今を生きる勇気をもらえる内容だった。

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