【越山若水】エッフェル塔は今から130年前の1889年、第4回パリ万国博覧会で最大のモニュメントとして建造された。同万博を見学した府中(越前市)生まれの教育者松本源太郎は「言葉に尽くしがたい」と感動を書き残している▼幕末・明治期の先人たちが海を越え、万博をはじめ未知の世界と出会い交流したことを紹介する特別展が、福井県立こども歴史文化館で開かれている。19世紀半ばにロンドンで始まった万博。明治新政府が公式参加したのは73年のウィーン万博だった▼この時、元福井藩士で新政府の役人となっていた佐々木長淳(ながあつ)は、日本庭園の工事監督を務めた。福井からは焼き物や織物、民具など多彩な物産が出品され、受賞した和紙関係者に贈られたメダルが展示されている。万博は日本文化をアピールする絶好の機会となった▼「半歩先の未来」と「異国」を疑似体験させてくれる万博。1970年、日本で初めて開かれた大阪万博は史上最大規模で、6421万人が来場。「月の石」やテーマ館「太陽の塔」が人気を集めた。太陽の塔の生みの親岡本太郎は「日本人に欠けているのはベラボーさだ」と、制作意図を語っていた▼その後メディアや娯楽の多様化もあり、万博はかつての熱量を失ったともいわれる。2025年大阪・関西万博は一体どんな未来を描き、象徴的な“塔”を打ち立てるのか注目したい。

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