【論説】県内公民館の市民講座などで新聞を使ったワークショップが行われている。記事を切り抜いてオリジナル新聞を作ったり、見出しの言葉を組み合わせ自分の思いを表現したりする。お年寄り同士、若者同士、孫と一緒に世代を超えてコミュニケーション力や言葉の力を高める新聞の活用法だ。

 ワークショップはさまざまな種類がある。有名なのは「まわしよみ新聞」と呼ばれるものだ。4~5人で班をつくり、(1)新聞から気になった記事や広告を1人が数枚ずつ切り抜く(2)なぜその記事を選んだのか1枚ずつ説明する(3)切り抜いた記事を模造紙などに貼り付けて壁新聞を作る―といった手順で進める。

 「秋」や「スポーツ」など最初に切り抜く記事のテーマを決めてもいい。テーマがある分、手軽に取り組める。福井新聞社で毎月開催するNIEこども塾「しんぶん寺子屋」でも、低学年の児童が保護者と一緒に挑戦している。新聞で遊ぶことで文字に親しみ、自然と言葉を覚えていく。

 しんぶん寺子屋では思わぬ発見をする子もいる。会場には全国の地方新聞が用意され、同じニュースでも各紙を比べると見出しの大きさや書きぶりなど伝え方の違いを実感できるのだ。ニュースの比較は情報を見極め、分析する「メディアリテラシー」に欠かせない。大きな被害を出した台風19号や沖縄県の首里城火災など、それぞれの地元紙の思いを知ることができる。

 公民館では、見出しの言葉を使ったワークショップも行われている。「言葉の貯金箱」と呼ばれる講座で、4~5人で班をつくり、切り抜いた見出しを貯金箱に見立てた一つの箱の中に入れる。その後、各自が気になる言葉を箱から取り出し模造紙に貼り付ける。言葉を幾つも組み合わせてストーリーをつくり、自分の思いを表現する。

 こうしたワークショップでは作品完成後に発表の時間が設けられる。健康に関する記事・見出しを選び前向きな目標を立てるお年寄りや、北陸新幹線開業を控え福井のまちづくりを真剣に考える若者たち…。相手の訴えに感心したり、ユニークなアイデアに笑ったりと会場は大いに盛り上がる。

 他人の考えを知り、自分の思いを表現し、相手から理解を得るコミュニケーション力は社会の中で欠かせない。「主体的・対話的で深い学び」は教育現場でも重視されている。ニュースの新たな視点を知ると、自分の考えの幅を広げることにもつながるだろう。新聞ワークショップのさらなる広がりを期待したい。

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