【論説】開港120周年を迎えた敦賀港に今月、大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスがその威容を現した。一昨年の初寄港から数えて4度目で、港や市街地では乗客を歓迎する多くのイベントが行われた。住民主体のもてなしは外国人乗客らに好評で、来年は1年間で4回寄港する計画だ。千人単位で外国人が訪れるクルーズ船は、現段階ではインバウンド(訪日外国人客)増に向けた大きな柱の一つであり、さらなる寄港数の増加を期待したい。

 ■にぎわい■

 明治期以降、国際港として栄えた同港が開港場に指定されたのが120年前。これを記念して今年は国や県、市、民間が連携して各種イベントや港の見学会、乗船体験などが行われてきたが、最も市内がにぎわったのがD・プリンセスの寄港と、それに合わせて開かれた数々のイベントだった印象だ。

 D・プリンセスは米プリンセス・クルーズ社が運航する全長290メートル、乗客定員約2700人の豪華客船。敦賀には日本一周ツアーの際に訪れることが多く、乗客の多くが外国人だ。

 今回は午前8時から夕方までと比較的長時間の滞在だったため、街中では観光物産展やクラフト市などが開催されたほか、商店街では和装など和の体験も行われ、市街地を中心に外国人の笑顔がみられた。商店主や市民ボランティアらのもてなし方も板についてきたようだ。

 ■満足度の高さ■

 D・プリンセスが継続的に寄港しているのは、外国人乗客の満足度の高さが船会社などに評価されたことが大きく、それが来年の4回の寄港につながったという。合わせて、県などが海外のクルーズ関係の展示会や国内のクルーズ旅行代理店などに出向き、積極的に誘致したことが実を結んだともいえそうだ。

 敦賀寄港は市民のもてなしに加え、大本山永平寺や県立恐竜博物館、三方五湖、滋賀県長浜市の黒壁スクエアなどのオプショナルツアー先の豊富さと、食のおいしさ、若狭や丹南などの伝統産業体験の多彩さなどが売りとなっているようだ。

 県の試算によると、過去3回の寄港による地元経済効果は約1億2千万円に上る。単純計算すると、来年は1億5千万円超の経済効果を生むことになる。

 ■誘致合戦■

 近年、国内のクルーズ旅行は人気で、各県とも盛んに誘致を行っている。お隣の舞鶴港は京都市への玄関口としてアピールし、年間30隻超のクルーズ船が寄港している。

 この誘致合戦に勝つためには、いかに敦賀港の認知度を上げるか。満足度の高さと多彩な伝統産業や和の体験を売りに、D・プリンセスの継続的寄港を図りながら他社船舶の寄港につなげたい。D・プリンセスは市街地から離れた岸壁に着岸しているが、千人未満のクルーズ船なら景観の良い金ケ崎緑地付近に停泊でき、敦賀の印象をさらに良くすることもできるだろう。

 ただ、他港では寄港する船が増えると「もてなし疲れ」も起きたという。しっかりと街全体で利益を生むことで、継続的かつ自発的なもてなしが可能となる仕組みづくりも考えていかなければならない。

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