数年前から冬になると夜間に体がかゆくなり、今では全身にかゆみが広がっています。以前、「老人性乾皮症」と診断され、ワセリンを塗ったり痛み止めの薬を飲んだりしていますが、深夜にかゆみが出てきて眠れません。体の下部から上部へ、最近では首回りや耳、頭までかゆみがあります。かゆみを抑える方法はないでしょうか。(福井県福井市、80代男性)

 【お答えします】岡本芳伸・福井県立病院皮膚科医長

 ■加齢による皮膚の乾燥、外部からの刺激に弱く

 皮膚は外部との境界ですので、体に大事なものは漏れ出さないよう保持し、異物や病原体の侵入は防ぐ機能があります。いわゆる垢(あか)は、角層といって、表皮角化細胞(皮膚の浅い部分)から生まれたバリアーであり、かつ大事な水分を含有保持しています。表皮角化細胞がれんがのように積み上がる隙間には、セラミドや天然保湿因子という成分があり、これらも水分を保持しています。

 肌の乾燥具合は体質により人それぞれですが、年を取ると一般的に、水分保持力や保湿成分の量が低下します。そのため乾燥が進んで、皮膚は外部からの刺激に弱くなり、かぶれやすくなります。近年の研究では、乾燥すれば、かゆみに関連する細かな神経が増えてきて、よりかゆみを感じやすくなることも判明しています。皮膚の適度な潤いを維持できず、乾燥しすぎのトラブル肌が「老人性乾皮症」です。細胞の若返りは困難なので、難治な病状です。かゆい病気の多くは、飲酒時や就眠時に症状が強くなります。

 ■外用剤は優しく塗布、症状に応じ内服薬も

 治療には、まずは肌の潤い水分を増やす必要があります。研究は行われていますが、まだ内服や点滴で肌の水分量を増やす薬剤はありませんから、保湿能力のある外用剤を肌に直接塗るのが一番効果的で、理にかなっています。

 乾燥肌は刺激に敏感なので、擦り込むと、症状が更に悪くなる懸念があります。皮膚の細かなしわに沿って、優しく、のばすように外用しましょう。かき壊して肌を傷つけたり、かゆみで夜も眠れなかったりするようであれば、かゆみ止めの内服薬を併用するのもよいでしょう。これは効果や眠気の有無など個人差がありますので、担当医に確認してみてください。

 老人性乾皮症だけであれば、顔や頭までかゆくなることは少ないですが、かゆみの範囲が乾燥しやすい下腿(かたい)(膝から下の部分)に留まらず拡大してくるようなら、悪化して湿疹になっているのかもしれません。症状に応じたステロイド外用剤が効果的ですので、これもしっかり専門医と相談して、治療を調節されるのがよいと思います。

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