【論説】2020年度から始まる大学入学共通テストを巡り、延期となった英語の民間検定試験に続き、国語と数学の記述式問題の導入に批判が強まっている。

 懸念の一つはどれだけ正確に採点できるか。記述式の採点を約61億円で受注したベネッセグループは設問ごとに3人以上で行うとしているが、中にはアルバイトの学生も含まれる。

 従来のマークシート式とは異なり、記述した文章を人が判定する以上、採点ミスの可能性は否定できない。18年の試行調査では国語での採点ミスは0・3%だった。50万人超が受験する共通テストでは1500人超もの人生を左右しかねない事態となる。

 もう一つの懸念は自己採点が正確にできるか否か。国公立大を目指す受験生は共通テストを自ら採点し、各大学の2次試験に出願する。実際の採点とずれが生じやすく、昨年11月の試行調査では、不一致率は最大33・4%にも上った。

 実際より好成績と誤認した場合、二段階選抜で2次試験に進めなかったり、低いと判断した場合は、合格しやすい大学に流れたりするケースが続出しかねない。文部科学省は自己採点のための指導を充実させるとしたが、受験生にそんな余裕があるとも思えない。

 文科省や大学入試センターは採点しやすい問題にする考えのようだが、易しい問題にすれば、思考力や判断力、表現力を見極めるという本来の趣旨を逸脱することになる。

 自己採点を巡っては、国公立大に対して二段階選抜で国語の記述式問題の成績を判断材料から外すように要請する検討に入った。文科省自身が問題ありと認めた格好だ。何のために導入するのかと言いたくなる。

 不安を募らせた高校生たちの中には、共通テスト自体の中止を求め、約4万2千人の署名を文科省に提出した。大学教授らのグループも同省に延期を求めた。野党は記述式問題の導入をやめる法案を出している。

 参院文教科学委員会の参考人質疑では福井県立大の木村小夜教授が、短期間の採点のために、さまざまな条件をつけて記述させることに「条件を与えないと書けなくなり、大学が求める学力とは真逆だ」と強調。「大学の個別入試では作問者は採点全体に責任を持ち一堂に会して採点する。業者は入試の厳格さを理解していないのでは」などと指摘し、導入中止を求めた。

 萩生田光一文科相は英語の民間試験とは違って、文科省が直接、改善を指示できると突き進む構えだ。短期間の採点で1万人規模の採点者が求められるがゆえの民間発注だが、問題や正答例の外部流出といった懸念もある。受験生のためにも早期に見直すべきだ。

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