クマが侵入した繊維工場内に突入する猟友会の会員ら=10月22日、福井県勝山市昭和町1丁目

 クマの出没と人身被害が相次ぐ福井県勝山市で地元猟友会が住民の安全確保に存在感を発揮する一方、会員不足や高齢化の課題も改めて鮮明になっている。福井県猟友会勝山支部の上弥吉支部長(69)は「クマに対応できるハンターが6、7年先には皆無になりかねない状況。住民を守るためにも若手の育成が必要」と危機感を募らせる。

 「若い人で銃を持つ人はいない。『誰かやってくれんか』とお願いするが、なかなか出てこない。市として育成をお願いできないか」。10月29日に勝山市教育会館で開かれた市クマ対策連絡協議会で上さんは支援を求めた。

 勝山支部は会員が約40人いるが、猟銃免許を取得しているのは十数人。上さんによると、クマに対応できるハンターは3、4人しかおらず、60、70代が中心という。

 同22日、市中心部の勝山市教育会館前で警備員の男性がクマに襲われ、頭を負傷。その後クマが侵入した繊維工場に突入したのは猟友会と警察だった。工場内を捜索して見つけると、最後は向かってきたクマを駆除した。上さんは「あのときは(勝山支部の)2人が県外にいたので急きょ大野から応援に来てもらい、何とか間に合った」と明かす。

 同25~28日に芳野町1丁目の木にクマ2頭が居座った際は住宅密集地のため猟銃を使用できなかったが、市職員が捕獲用おりを設置する際に同行するなど安全確保で役割を果たした。その後も隣の柿の実を落とすよう市に助言し、捕獲、駆除につなげた。

 「できれば駆除は避けたい思いもある。(判断、実行は)簡単ではない」と上さん。ただ、木の実が不作、凶作の中、「離れた場所に放獣してもクマは戻ってきてしまう。住民に危害が及ぶ恐れがあるし、放獣するにも人、時間、労力が必要なことを知ってほしい」と理解を求める。

 クマの対応には「度胸と経験」が必要だが、怖さを知っているからこそ細心の注意を払うという。人を怖がらないクマが出ている一因には会員数の減少もあるとみる。

 上さんは「私も70歳になるのであと5、6年できればいい方。若い人が興味を持って猟銃免許を取り、訓練を積んでくれれば安心して引退できる」と話す。市民の命や安全を守るため「40、50代の人を増やしていくことが必要。そうしないと次の大量出没年にも間に合わなくなる」と危機感をあらわにした。

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