【論説】いじめや暴力が法律で犯罪になることを分かりやすい言葉とイラストで説明している本「こども六法」が話題になっている。今夏出版されると全国の書店から注文が相次ぎ、県内書店でも人気上位にランクされている。「きみを強くする法律の本」という帯の言葉から、込められた思いが伝わってくる。

 刑法、刑事訴訟法、少年法、民法、民事訴訟法、憲法、いじめ防止対策推進法の関係条文を平易な表現に書き換え、子どもでも読めるよう、漢字には振り仮名を付けた。動物など親しみやすいイラストと共に「気軽に『死ね』って言ってない?」「法律を知らないことは言い訳にはできないよ!」と呼び掛けるような文体で書かれている。

 著者で法教育研究者の山崎聡一郎さんは、小学生の時に背後から蹴られて転び、手首を骨折するほどのいじめを受けた経験をしており「法律を知っていれば、自分を守れたんじゃないか」という思いがあったという。子どもの目線に立った内容が共感を得ているのだろう。

 いじめの現状に目を向けると、2018年度に全国の国公私立小中学校と高校、特別支援学校で確認された件数は54万3933件で過去最多(文部科学省調査)。前年度から31・3%、12万9555件と大幅に増えており、いじめが確認された学校は80・8%に上る。

 県内の認知件数も1639件で、前年度比31・4%、392件の増。県教委は「早期発見につなげようと、積極的に認知している結果」と説明しているが、毎年右肩上がりで推移している。

 このような状況下、山崎さんは「こども六法」の中で、大人がいじめをなくすよう努力する必要があることを強調。「警察官や弁護士など、今まで全然知らなかった大人でも相談に乗ってくれる。あきらめないで」と話している。

 いじめと法律の関係を巡っては、文科省が学校現場での問題に対応するため「スクールロイヤー」と呼ばれる専門の弁護士を来年度から配置する方針を示しており、県教委も活用法などを検討することにしている。また、ネットいじめをテーマとした弁護士による授業が福井市内の小学校で行われるなど、子どもたちの意識を高める動きも見られる。

 大人も含め関連する法律に理解を深めることは、将来を担う子どもたちの大切な命を守るための力になるに違いない。一冊の本に一つのヒントが見て取れた。

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