【越山若水】「面白い」とは、楽しい、興味深いなどの意味で、奈良時代以前から使われていた。「面白し」が原義で、目の前が明るくなった状態、目に見える景色の美しさを表す言葉である▼語源は定かではないが、作家の神山典士(こうやまのりお)さんが俗説として、それこそ面白い話を紹介している。かつて日本では夜になると家族が炉端に集まった。そんなとき誰かが「○○と××が一緒にいるのを見た」などと言い出す。「えっ、ホント」。全員が一斉に顔を上げる▼するとみんなの顔面が囲炉裏(いろり)の火に照らされ、白く光って浮かび上がる。つまり「面(めん)が白(しろ)い」。うつむいていた人たちさえ、思わず興味を引かれる話題のことを指す。今風に言えば、国会議員や芸能人の不祥事や醜聞、スポーツ選手の活躍などがそれに当たるという▼近ごろ目に付くのは、有名人の相次ぐ薬物摘発である。春先に俳優やタレントの逮捕で物議を醸したが、今度は名の知れた女優や元冬季五輪選手の薬物禍。当初は「えっ、ホント」と驚きを隠せなかったが、度重なる不祥事の知らせに「えっ、またか」とあきれ返る▼特に合成麻薬MDMAを所持していた女優は、来年のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」に出演予定。主人公・明智光秀は福井県とも縁が深い。代役起用は避けられず放送にも影響を与えそう。世間の注目とは裏腹に、関係者の「顔面蒼白(そうはく)」が鮮明になる。

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