3人の遺体が見つかった民家=11月17日午前8時40分ごろ、福井県敦賀市

 福井県敦賀市の民家で11月17日、高齢の家族3人の遺体が発見された事件。現場周辺には規制線が張られ、警察官が行き交い、山あいの静かな集落は物々しい雰囲気に包まれた。夫(70)を殺害したとして福井県警に殺人容疑で逮捕された岸本政子容疑者(71)は、遺体で見つかった3人の世話を一手に担っていたといい、最近は介護の苦労を漏らしていたとの声も聞かれた。住民が「みんな温厚でおおらか」と口をそろえる一家に何があったのか。

 民家は国道8号に面した集落の南側に位置し、付近にも民家が多くある。複数の住民によると、16日夜から17日朝にかけて大きな物音などはなかった。パトカーや救急車の到着で事件に気付き、「何が起きたのか」と一様に驚き、衝撃を受けた様子だった。

 夫は数年前まで建設会社の社長を務め、政子容疑者もこの会社で事務を担当。夫は10年ほど前に選挙で区長もしており、近くの60代男性は「区のまとめ役で、困りごとがあるとよく相談に乗ってもらっていた」と話す。

 夫とともに遺体で見つかった義父(93)、義母(95)は、自宅でよく一緒に囲碁を楽しみ、しっかり会話もできる状態だったらしい。ただ、入退院を繰り返し、深夜に救急車を呼ぶこともあったという。近くの70代女性は「義母は『うちの嫁は一番や。良くしてくれている』と自慢げに話していたのに…」と涙ながらに語った。

 政子容疑者は関西出身とみられ、明るく優しい性格で、集落の行事にも積極的に参加していたという。夫は2年ほど前に病気で倒れ、後遺症で足が不自由になった。義父母を含めた3人を政子容疑者が一手に世話しており、夫を病院に送迎したり、昼休みに食事を作りに自宅と事務所を行き来する様子が見られていた。

 夫と政子容疑者に最近会ったという市内の50代男性は、2人に変わった様子はなかったが、政子容疑者が知人に義父母の介護の愚痴をこぼしていたと聞いたという。「(政子容疑者は)体調を崩して疲れた様子だった」と話す住民もいた。

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