【論説】中部縦貫自動車道大野油坂道路(全長35キロ)の事業費が現行の1510億円から800億円増え、2310億円になる見通しとなった。増加した事業費は確保されておらず、杉本達治知事はコスト低減に向け国土交通省との協議の場を設ける意向を示した。成果を期待するとともに、国には早期完成に向け必要な予算の確保を求めたい。

 今回の事業費増加は、県や大野市が要望する2023年春の北陸新幹線県内開業との同時期開通が厳しくなったことを意味する。県は同時期開通を目指すべく動き出した格好だ。

 中部縦貫道は福井北ICから大野ICまでつなぐ永平寺大野道路(26・4キロ)が2017年に開通。県内区間では大野市街地から岐阜県境にかけてトンネル工事や高架橋の建設が進んでいる。大野IC―大野東IC間については本年度中に用地取得が終わる見込みになり、大野油坂道路開通へ、あとは財源確保が最大の課題になっていた。

 大野油坂道路のトンネルの延長は計約20キロで全体の約6割を占める。工事が進む中で、国交省近畿地方整備局福井河川国道事務所は想定以上に区間の地質がもろく、トンネルの工法変更や掘削後の補強が必要となったとし、大幅な事業費増を明らかにした。

 具体的には▽トンネル対策に333億円▽高架橋の基礎などの強化に200億円-など、計805億円の増額が見込まれるという。

 区間別の事業費でみると、和泉-油坂間(15・5キロ)が現行比470億円増の1119億円と試算された。当初の試算はどのようになっていたのかと思うほどの大幅増だ。

 大野油坂道路では2年前にも事業費がアップした。片側1車線の安全対策を強化するため、センターライン上のラバーポールから中央分離帯設置への見直しに伴い、その幅に比例してトンネルの断面が大きくなるのが主な要因だった。当初計画の約1300億円より約200億円増加する見通しが示された。

 今回の事業費増で、残事業費は約1700億円に上る。新幹線開業の23年春の同時期開通に向け、20年度から年平均で約560億円ずつ予算が必要となる計算だ。これまでの単年度の事業費確保額は19年度の210億円が最高だけに、残り3年余りでの完成はかなりハードルが高くなった。

 中部縦貫道の整備によって移動時間の大幅な短縮効果が見込め「中部圏の総意」として集中的に投資すべき路線である点は一致している。インフラ整備は地方創生の要だ。事業費が膨らむことはやむを得ないとしても、今後はコスト縮減や事業工程の見直しに徹底的に知恵を絞るべきだろう。

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