【越山若水】福井県民は信仰心の厚い県民性だといわれる。実際に人口10万人あたりの神社数は218社、寺院数は215寺で、いずれも全国2位(2016年宗教統計調査)。全国平均の3倍以上の多さだ▼身近な神と仏の信仰の歴史に触れることができる特別展が県立歴史博物館で開かれている。家や田畑とそこに暮らす人々を守る神「鎮守さま」をテーマに、貴重な神像や仏像が出展されている▼興味深いのは、6世紀に伝来した仏教が神道の成立に大きな役割を果たし、姿を見ることができないはずの神が神像として登場したこと。平安時代になると神道の独自性が表れ例えば福井市東河原町、樺(かば)八幡神社の像は夫婦神だった。平安後期以降は、国家を守る神々が地域の守り神となったり、神仏習合が深化したりと、神の世界は新たな展開を迎えた▼一方、嶺北地方では鎌倉時代以降、浄土真宗と神道が併存した。「血」と「死」によるケガレを嫌う神道に対し、僧侶はタブーに接近を図った。「仏教施設の道場が葬式や女性の集う場となり、江戸時代には集落にとって必要不可欠な存在となりました」(河村健史学芸員)▼しかし戦後、集落の人口は激減。新たに集会所や公民館、葬儀場が建設され、本来の機能を失った道場は存続の岐路に立たされている。長くて豊かな鎮守の歴史を記録し次代へ伝えていくための知恵を絞りたい。

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