株式会社 ジャクエツ 代表取締役社長 CEO 徳本 達郎氏

 遊具や教材から保育施設のプロデュースまで子どもの成長に関連する幅広い分野の業務を手掛けるジャクエツ。どのフィールドにおいても貫かれているのは「すべてはおさな子のために」という創業理念であり、その熱い思いは教育者や各界の専門家らの共感を呼び、さらなる成長を後押ししている。

(聞き手/吉田真士・福井新聞社代表取締役社長)

 

高い専門性によって全国の橋を支える。 

吉田 最近は、デザイナーの深澤直人さんとコラボした遊具が話題になりました。

徳本 深澤さんは、当社の理念に賛同していただき、10年以上前から一緒に仕事をさせてもらっています。無印良品では経営にも関わられているので、弊社でも経営面のご指導をいただいています。また弊社では、教育や建築、食関係など多くの専門家と共に、子どもの遊びについて調査研究する「プレイデザインラボ」を設けており、そこにもご参加いただいています。
 
吉田 道具で国内屈指の業績ですが、それ以外というと。

徳本 コンサルティング業務が大きいですね。保育園など施設開設の相談や園舎の設計、運営相談のほか建物が建てば遊具を納入し、メンテナンスも行います。現在では保育施設だけでなく、富山県立美術館や中部国際空港などの公共施設でも子どもの遊び空間を手掛けています。
 
吉田 もはや「遊具メーカー」という言葉ではくくれませんね。

徳本 出生数は第2次ベビーブームの1973年がピークで、その後は減る一方。早い段階から業態の転換は必要だと考えていました。80年代からお客さま相談室を設置してカタログ製品以外の業務の相談にものりながら、ニーズに応えてきました。

 
吉田 そんなに早い時期から布石を打っておられたとは。

徳本 コンサルタント業務に関しては、当社が長年培ってきた子どもに関する知識や経験はもちろん、全国70カ所にある拠点の社員がその土地ごとの環境や行政の動きを把握しているので、どこよりもきめ細やかな対応ができます。最近では後継者育成の研修や都市部に進出するお客さまの土地探しまで、事業領域は広がっています。

 

10月に完成した新工場に、過去の製品を展示したアーカイブコーナーを設置。「これまでの歩みを、見学のお客さまにも社員にも見てもらいたくて」と、徳本社長。

 

幼少期の遊びの効果は大人になって現れる。 

吉田 御社の成長を支えてきた原動力は何ですか。

徳本 1916(大正5)年に祖父・徳本達雄が敦賀の有力者の支援を受けて早翠幼稚園を開設。当社はその教材づくりから始まりました。「すべてはおさな子のために」の理念のもと、業務を広げてきました。

吉田 最近は「未来価値」という言葉をよく使われています。

徳本 子どもの教育全般がそうですが、教材や遊具は購入しても即座に効果が現れるものではありません。しかし、それを使って遊んだ影響は、何十年も後になって現れるのです。

吉田 遊びの中で子どもたちが学ぶことは多いのですか。

徳本 幼少期にしっかり遊ぶことは脳の成長に有効という研究結果もあります。また集団で遊ぶ際には、他の子に対する共感力や遊びのルールを作り出す創造力が必要です。そのような数値化できない「非認知的能力」が、社会性に大きく関わることが近年の研究で分かってきました。

吉田 そういった研究はどのように取り入れているのですか。

徳本 例えば遊具の中に、子ども同士が協力したり譲り合ったりしないと越えられないゾーンを意図的に作るなどして、問題解決の方法を自然に習得できるようにするのです。
 

吉田 想像以上に乳幼少期の過ごし方は重要なのですね。

徳本 特に就学前の時期は、無意識の行為が個人のパーソナリティーに刻み込まれ、大人になると顕在化してきます。「未来は、あそびの中に。」は弊社のスローガンですが、遊びが育む社会への影響は本当に大きいと思います。

 

目先の利益よりも未来への影響力。 

吉田 顧客にも、そういった形のない部分の価値を理解してもらうことが重要ですね。

徳本 私たちのお客さまは全て、子どもに対する熱い思いを持った教育者の方々です。営利を目的としていない学校法人、社会福祉法人が中心ですので、営業担当は教育に関する知識はもちろん、人間性が問われるのです。

吉田 社員にはどのように伝えているのですか。

徳本 仕事の分野が拡大している今こそ原点に立ち戻ろうと、あらためて理念教育に力を入れています。直近の全社営業会議では、数字に関する話は一切しませんでした。これまで上場という選択をしなかったのも、株主の意向や利益に流されて理念をおろそかにしたくなかったからです。

吉田 新工場を建設され、設計から生産までの体制が整いました。さらなる成長が視野に入っていますね。

徳本 子どもの教育が社会に与える影響は売上額よりもはるかに大きいと考えており、それは私たちの誇りです。出発の地であるここ敦賀から、日本、そして世界中の子どもの成長のために、確かな価値を届けたい。その気持ちで全員が動けば、結果はおのずとついてくると思います。

 

 

株式会社 ジャクエツ

本社/敦賀市若葉町2-1770
TEL.0770-25-1111
https://www.jakuets.co.jp/
創業/1916年4月1日
従業員数/674人
事業内容/保育教材、教具、園児服などの企画・製造・販売 建築設計・プランニング・リノベーション企画・設計施工 ランドスケープのデザイン設計 アフターメンテナンス

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