【論説】越前市の新庁舎が完成し、17日に竣工(しゅんこう)式が行われ、午後には一般内覧会がある。市は新庁舎の特徴として、市民向け窓口のワンストップ化などサービス向上や、多目的ホールの整備など市民利用機能の充実などを挙げる。2021年春から供用される「庁舎前ひろば」などと合わせ、市中心部の庁舎をどう利活用していくか。完成を祝うとともに、利用する市民側も使い勝手を確かめながら市とともに考えたい。

 新庁舎は市の各課が入り行政機能を集めた東棟と、生涯学習センター機能やカフェ、展望ラウンジや屋上庭園などの市民利用部分と議場を備えた西棟からなる。東棟は6階建て、西棟は5階建てで、延べ床面積は計約1万2700平方メートル。防災拠点機能の強化を図り、3日間運用できる非常用発電機を設置した。

 新庁舎での業務開始は来年1月6日から。旧庁舎は解体し、跡地に約600平方メートルの大屋根広場や芝生広場、噴水広場などを備えた約4800平方メートルの庁舎前広場を整備する。電気・給排水設備を備え、イベント会場としてだけでなく、災害発生時は一時避難所としての提供も想定する。

 新庁舎建設に当たり、市は今年3月「窓口改革推進室」を設置。ソフト面でも検討を重ねてきた。新庁舎では出生や死亡届などライフイベントごとの窓口を設置。外国人向けに最大4カ国語の表記や、外国人相談窓口を設置する。職員の手話研修も行い「多様な来場者に優しい市と新庁舎」を目指してきたという。

 そうした市の目標が新庁舎の完成、運用で試されることになる。新庁舎は市がどう市民と向き合っていくか具現化する場となる。

 新庁舎建設では建設地の選定で紛糾、06年にいったんは着工が先送りとなり、13年に現在地建設で落ち着いた経緯がある。合併特例債166億円から53億円、05年から市が積み立ててきた新庁舎建設基金から約10億6千万円などを充て、関連費用も含め総費用は約70億円に上った。曲折を経て市の中心部に建設となった分、市街地活性化の中核施設などとして、その役割と活用には大きな注目と期待を背負う。

 市が設置した「庁舎前ひろば整備・利用検討会議」が7月にまとめた報告書は、完成後の利活用や管理運営に向け「市と関係団体などが協議する体制を整え、民間活力を活(い)かした方針を定めること」を求めた。ハードとソフト、そして市と市民の新しい関係性が、新庁舎の価値を高めていくことになる。

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