立命館大学のオフェンスをリードするQB荒木=11月10日・万博記念競技場

 立命館大学と関西学院大学。

 関西の学生アメリカンフットボールの中で、独特のカルチャーを育んできたライバル同士だ。

 今年もリーグ戦の優勝を懸けた両校の激突が11月10日、大阪の万博記念競技場で行われたが、会場の最寄り駅である公園東口駅を出ると両校のスクールカラー、立命館のマルーンと関西学院のブルーのウエアを着たファンが目立った。

 この光景は新鮮だった。スクールカラーを身にまとうアメリカ型のカルチャーは、関東のアメリカンフットボールやラグビーではなかなか定着しない。

 卒業生、関係者の思い入れ、プライドが伝わってくる。

 試合は、前半から立命館が関西学院を圧倒した。特にディフェンスの圧力はすさまじく、関西学院に思い通りのプレーをさせずにインターセプト、ファンブルを誘い出し、18対7で完勝した。

 同率優勝ながら、序列では1位となり全日本大学選手権決勝の「甲子園ボウル」出場に向けて大きな1勝となった。

 試合終了直後、サイドラインで行われていた関西学院コーチ陣のハドルの輪はなかなか解けなかった。

 当然のことながら、全員の表情が硬かった。ようやく話し合いが終わると、今季限りでの勇退が決まっている鳥内秀晃監督が話し始めた。

 「関西の学生は、戦前の予想で不利な方が勝つことが多いねん。昔のうちと京大の時もそう。いまの立命とうちもそう。今年もその通りの展開になったね」

 試合前、鳥内監督はチームの中心である4年生の覚悟にささやかな疑問を抱いていたという。

 「学生たちがな、今年のスローガンで『学生圧倒』を掲げてきたんやけど、ちゃんとした気持ちを持って準備しとる選手が半分ぐらいしかいなかった。痛い目に遭うんちゃうかと思ってたけど、ほんまそうなったな」

 なぜ、そうした心の隙ができてしまったのだろうか。

 「うちは、去年の12月に甲子園ボウルの西日本代表決定戦で立命にサヨナラ勝ちした。そのいいイメージが残りすぎてたんちゃうかな。最後には勝てるだろうという根拠のない自信。これは危ない」

 反対に、立命館はその悔しさを今回の一戦にぶつけてきた。

 「結局『思い』やな。立命はうちにサヨナラ負けして、ずっとこの機会をうかがって、準備してきたのが分かった。ランニングバックを2枚並べてきたんやけど、あれは今まで見たことのないフォーメーション。なかなか対応できひんかった。今度はうちの4年生がどれだけの思いを持って準備できるかやね」

 関西学院には、ここからいばらの道が待つ。

 甲子園ボウルの西日本代表決定戦(12月1日・万博記念競技場)で立命館との再戦を果たすには、11月16日に福岡で西南学院大学を破り、24日には神戸大学と中京大学の勝者に勝たなければならない。

 「これからしんどいな。連戦が続くから、コンディショニングには気をつけなあかんけど、ここから這い上がったら歴史作れるで。そのチャンスを4年生がどう考えるかやね」

 指揮官として最後のシーズンだが、鳥内監督自身に気負いはまったくない。あくまで、チームを作るのは4年生だからだ。それでも、最後にこう言った。

 「12月に勝たな、おもろないな」

 新たな思いが、このライバル対決を彩るに違いない。

生島 淳(いくしま・じゅん)プロフィル

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大を卒業後広告代理店に勤務し、99年にスポーツライターとして独立。五輪、ラグビー、駅伝など国内外のスポーツを幅広く取材。米プロスポーツにも精通し、テレビ番組のキャスターも務める。黒田博樹ら元大リーガーの本の構成も手がけている。

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