クラウドファンディングを活用し酒造りに挑む高橋裕子社長(右)、嶋田明美さん姉妹=福井県越前町天王の丹生酒造

昭和初期まで丹生酒造近くにあった桜の木(丹生酒造提供)

 丹生酒造(福井県越前町天王、高橋裕子社長)が、福井新聞社と福井銀行、レディーフォーによるクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」を活用し、無農薬の米飯米「ハナエチゼン」を使った酒造りに挑戦している。売り上げの一部は、酒蔵の前にある八坂神社に寄贈し、酒蔵の象徴的存在と言える桜の苗木を植樹する計画だ。

【支援はこちら】創業300年丹生酒造。新商品「さくら鞠子」で地域への恩返しを

 丹生酒造は、同神社の宮司を本家とし、神社にお神酒を奉納したことを機に1716年に創業。創業時から境内に湧き出る水を仕込み水として醸造を続けている。京都の公家、飛鳥井氏(あすかいし)がこの地を治めたとされることから「飛鳥井」の銘柄を拝している。

 新たな酒は、飛鳥井氏にちなむ伝説がモチーフになっている。6代当主で蹴鞠の名手として知られた飛鳥井雅縁(あすかい・まさより)が室町期に、神社境内の高台に植えた薄墨桜は遠方からも望むことができ「飛鳥井桜」と親しまれたという。樹齢450年を越え、朽ちる前に酒蔵の先人が若芽を採って蔵の前に植えたところ、親木に負けないほど成長し、春には蔵人が花見酒を楽しんだ。ただ、その“2代目”の桜も昭和期の室戸台風で被害に遭い、今はない。

 「長く地域で愛されたシンボルの桜を再生させ、地域に恩返しできれば」と、高橋社長の妹で営業を担当する嶋田明美さん(54)。新商品の名称は「純米大吟醸さくら鞠子(さくらまりこ)」と名付け、瓶のラベルは桜の花をイメージした。収益を活用し、1~2年後に桜を植樹する予定だ。

 創業以来、地元産の原料にこだわっており、今回は若手農家で無農薬・無化学肥料のコメを「田んぼの天使」と名付けて販売している同町の井上高宏さんと連携。酒造りを通して、自然環境に優しい農法を後押ししたい考えだ。

 2020年1月に仕込みを始め、3月に初出荷を予定。女性に楽しんでもらえるよう、飲みやすくフルーティーなお酒を目指す。嶋田さんは「初めてのCF活用で、これまで接点のなかった方にも酒蔵の存在を知ってもらい、越前町に足を運んでもらうきっかけになれば」と話している。

 商品企画やラベルデザインなどは、ふくい産業支援センターに事務局を置く福井県よろず支援拠点の協力を得た。ミラカナでは11月1日に募集を始め、目標額120万円を既に達成。次の目標を270万円に定め、引き続き12月25日まで支援を募る。金額に応じて「さくら鞠子」や越前焼のぐい飲みなどのリターンがある。

⇒ミラカナの最新ニュースはこちら

関連記事