観光振興を進める上でのまちづくりのポイントについて講演した山田五郎さん=11月9日、福井県福井市の福井工業大学

 編集者で評論家の山田五郎さんを講師に招いた福井工業大学の講演会「未来塾」(福井新聞社後援)は11月9日、福井県福井市の同大福井キャンパスであった。全国で観光振興策が進められている中、観光公害が発生している現状を指摘し「観光客より住民のためのまちづくりが大事」と説いた。

 「住んでる人が幸せになるまちづくりを!~量より質の観光振興~」の演題で話した。日本各地がインバウンド(訪日外国人客)の呼び込みに力を入れている一方で「慢性的な渋滞や地価、家賃の高騰で市民生活に影響が出ているところもある」と指摘し「生活を圧迫してしまっては本末転倒」と訴えた。

 観光振興のためには「どこにもない魅力づくりが必要」と力説。「魅力は箱ものを建ててつくるのではない。大事なのはその中身。箱ものはコンテンツで再生できる」と、既存施設の有効活用を促した。

 「今ある資源でも、新しい切り口でブレークするかもしれない。豚骨を使わないカニラーメンを作れば(イスラム教の戒律に配慮した)ハラル対応になるし、そばや油揚げ、永平寺の精進料理はビーガン(完全菜食主義)の人たちにアピールできる」とアイデアを披露した。

 また「『おもてなし=サービス』ではない。おもてなしとは魅力を提供すること。魅力に自信がないとサービスが過剰になる。それは自己満足」と指摘した。

 市民や学生ら約250人が聴講した。

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