約1年半前、「膵臓(すいぞう)に水がたまっている」と、かかりつけの医師に診断されました。以降は半年に1度、エコー検査を受けていますが「今のところ小さいので、様子をみましょう」と言われています。このまま定期的な検査だけでいいのでしょうか(福井県嶺北地方、70代女性)

【お答えします】野村佳克・福井県済生会病院内科医長

 ■腫瘍性のう胞なら、がん発症リスク

 膵のう胞とは、膵臓の内部にできるさまざまな大きさの「液体の入った風船のような袋」のことです。多くの場合は無症状で、超音波、CT、MRI検査などにより偶然見つかることの多い病気です。その率は25%近くにまで及ぶという報告もあります。膵のう胞には腫瘍(しゅよう)性と非腫瘍性のものがあり、腫瘍性の中には良性と悪性があります。肝臓や腎臓にできるのう胞はほとんどが良性ですが、膵臓の場合は注意が必要です。

 腫瘍性はのう胞全体の約70%を占めます。少し難しい名称ですが、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性のう胞性腫瘍(MCN)、漿液性のう胞腫瘍(SCN)の三つが有名です。頻度はIPMNが圧倒的に多いです。

 IPMNは「のう胞自体のがん化」と、「のう胞はがん化しないが膵臓内にがんを併発する」という二つのリスクがあり、とても注意が必要です。のう胞自体のがん化は、年率1~3%程度、のう胞以外の膵臓内にがんを併発する割合は約5%程度と報告されています。
 有名な膵臓専門誌に、10年間のIPMNの経過観察中に、膵臓内にがんの併発が4・4%あったと報告されており、一般人口における膵臓がんの頻度が0・01%程度であることを考えると、膵臓がん発症のリスクが高いと言えます。

 ■非腫瘍性でも定期的に検査を

 一方、のう胞全体の約30%を占める非腫瘍性には、膵仮性のう胞、膵類表皮のう胞などがあり、基本的にはがん化することはありません。症状がなければ経過観察で問題ありません。

 相談者は、医療機関で膵のう胞の精査を受けて現段階では問題がなかったようですので、経過観察でよいケースと考えます。ただし、前述のとおり、IPMNの場合は後に悪性化する恐れがあるため定期的なチェックは必要です。医療機関によって多少の違いはありますが、半年から1年ごとに膵臓の画像検査を受けるのが望ましいと思います。

 検査法は、腹部超音波検査もよいと思いますがCT、MRIが膵臓全体の評価に優れているので、できればそれらの検査も受けるとさらによいと思います。また、IPMNの特徴の一つとして、膵臓を含む他の臓器にがんを合併しやすいと言われています。IPMNの経過観察中の方には(手術を受けた方も含め)膵臓以外の臓器も定期的にチェックする必要があります。

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