【論説】睡眠導入剤や薬物、アルコールを摂取した米兵が操縦する戦闘機が、日本の領空を飛んでいたという。防衛どころか、日本の安全を脅かす本末転倒の愚行は許されるはずもない。

 この事実は、高知県沖の太平洋上で昨年12月、山口県岩国市の米海兵隊岩国基地所属のKC130空中給油機とFA18戦闘攻撃機が夜間の空中給油中に接触、墜落し6人が死亡・行方不明なった事故の調査報告書で判明した。

 睡眠導入剤など以外にも、飛行中に酸素マスクを外して手放しで操縦したり、読書やひげを整えたりしている様子を自撮りしていたという。不倫や指示違反なども指摘されている。常軌を逸した規則違反が横行していた。

 加えて、高知県沖と同様の接触事故が2016年4月に沖縄県沖上空で起きていたのに、負傷者がなかったことなどから軽微な事故として詳細調査は行われず、上層部にも報告されていなかった。

 人為ミスとして重大視しなかったことで部隊の規律意識の低さや管理態勢の不備は改善されず、結果的に高知県沖の墜落死亡事故につながったといえる。米軍が兆候を見逃し、死亡事故を誘発した例は過去にもあった。軽微な事案でも徹底調査するよう抜本策を講じる必要がある。

 在日米軍の事件・事故について日米両政府は「公共の安全または環境に影響を及ぼす可能性がある」場合、できる限り速やかに通報することで合意している。しかし、通報の範囲や時期は米軍の裁量任せになっているのが実態だ。

 河野太郎防衛相は沖縄県沖の事故の連絡がなかった点に触れ「ルール違反だ」と非難したが、日本側に情報提供がなければ、再発防止は米軍に委ねるしかない。軽微な事案でも報告させるような仕組みを構築するべきだろう。

 米軍は沖縄を対象とする別の日米合意にも反して、嘉手納基地でパラシュート降下訓練を相次ぎ強行している。直近では、青森県三沢市の米軍三沢基地所属のF16戦闘機が訓練場外で重さ二百数十キロもある模擬弾を落下させる事故があった。背景に規則や規律違反などがなかったのか、政府は米軍に徹底調査と報告を求めるべきだ。

 規律と安全が確保されなければ、基地負担を強いられる地元の強い反発を招くのは必至であり、現に岩国市民らは「ぞっとする」「あるまじき行為」などと憤りをあらわにしている。

 問題の根底には米軍の特権を定めた日米地位協定の存在がある。事故の捜査に日本が関われるなど、対等関係に改める必要がある。今のままでは同盟関係に亀裂が入りかねない。

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