【越山若水】「凪(な)ぎわたる地はうす眼(め)して冬に入る 飯田蛇笏」。きのうは立冬。暦の上では冬であるが、いきなり荒天になるわけでもない。空は晴れ山野は薄目を開けているようだと詠んでいる▼ただし予想外の小春日和の陽気に遭遇して心が緩むと、やがて訪れる荒涼たる冬への警戒感も強くなる。そう思って福井市の季節現象を確かめると、初霜の平年値は今月24日。同じく初雪、初氷の場合は来月2日になる。ひたひたと迫る冬の足音が聞こえそうである▼周りの人も気になることは同じようで、最近の話題の中心と言えば、降雪が多いか少ないか。そこで登場するのが生物で占う天候予測。モズのはやにえが高い場所にあった。カマキリの卵を高所で見つけた。今年はカメムシが大量発生している。ゴマの草丈が高い…▼いずれも大雪を予想させる兆候だという。民間伝承であり、科学的な検証もされていないが、心当たりがある―と誰もが盛んに首肯する。それというのも昨年は2018福井豪雪、今年は一転して少雪で除雪はほぼなし。あまりの極端さがむしろ不気味にさえ思える▼県の除雪対策本部が設置された。先年の豪雪で発生した交通の大混乱を教訓に、冬用タイヤの装着調査を初めて実施する。気象台は12月、1月とも雪は少なめの予報だが、民間伝承では多雪との見方もある。できれば、ほどほどでと願うばかりだ。

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