WBSSバンタム級決勝、2回を終え、右目上から流血しコーナーに戻る井上尚弥=11月7日、さいたまスーパーアリーナ

 ボクシングのダブル世界戦各12回戦が11月7日、さいたまスーパーアリーナで行われ、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝で世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)王者の26歳、井上尚弥(大橋)がWBA同級スーパー王者で36歳のノニト・ドネア(フィリピン)を3―0の判定で下し、優勝した。

 「怪物」井上尚弥が世界5階級制覇の名手、ドネアを破った。最強決定トーナメントの決勝。「負けられないドネアの気持ちの強さを感じた。この舞台で優勝できて充実していた」と安堵(あんど)の笑みとともにムハマド・アリ・トロフィーを掲げた。

 強打自慢同士の激しく攻防が入れ替わる緊迫の展開から、5回に右強打でぐらつかせた。その一方、2回には右目上から流血。鼻血も流して傷つき、9回には右を受けてふらつきクリンチで逃れる場面もあった。

 「2ラウンド目からドネアが2人に見えていた。期待されている闘いができなかった」と9試合ぶりの判定決着を反省。それでも11回、左のボディーブローで四つんばいにさせるダウンを奪って局面を変えた。アクシデントを受けて足を使ってポイントを取る作戦に変更し、実行した技術、倒れない闘志、そして倒しきる力。苦戦の中で底力を見せた。

 弟拓真が王座を失った後の試合で心穏やかでない状況もはねのけ「拓真の敵を取りたい」とWBCのベルトに照準を合わせた。試合後は米興行大手トップランク社との複数年契約締結が発表された。「どんな景色が見られるのか楽しみ」と世界的スターへと駆け上がっていく。

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