高所作業車に乗り込み、電柱に作られたコウノトリの巣を撤去する北陸電力の作業員=11月5日、福井県坂井市春江町上小森

 国の特別天然記念物コウノトリ4羽がふ化し、巣立った福井県坂井市春江町上小森で11月5日、使われなくなっていた巣が撤去された。北陸電力の作業員が高さ14メートルの電柱上で行う作業を、住民らは別れを惜しむように見守った。

4羽誕生コウノトリの電柱巣撤去

 坂井市内に飛来したペアのコウノトリは4月下旬に営巣。5月下旬に4羽がふ化し、7月下旬から8月上旬にかけて順次巣立った。県内では1961年に小浜市で確認されて以来、58年ぶりの巣立ちとなった。

 北陸電力はこの日、2台の高所作業車を用意し、7人で作業。巣は高圧線などに複雑に絡んでおり、細かく分割しながら約30分かけて撤去した。台風などの影響で巣は小さくなっていたが、取り除いた木の枝などの重さは31キロあった。

 住民らは「育っていくのがかわいくて楽しかった。撤去は寂しい気持ち」「集落から家が1軒なくなるのと同じ」と名残惜しそうに作業を見詰めていた。

 コウノトリの感電や、一帯の停電を防止するため、北電は集落の電気系統を迂回させる措置を取っており、来年1月までに、老朽化した電柱の建て替えに併せて復元工事を行う。

 コウノトリの飼育、野生復帰事業を担当する県自然環境課は「負担を理解し共生を決断していただいたおかげで58年ぶりのひなが巣立った」とコメント。県は集落周辺への人工巣塔の設置が可能かどうか住民や関係機関と協議を進めている。

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