【論説】坂井市大関小で先月、児童と保護者が1泊2日で避難所生活を体験する取り組みが行われた。住民や各団体が連携する活動をコーディネートしたのは、市が進める地域の担い手育成講座「まちづくりカレッジ」(まちカレ)を修了した1期生の主婦。まちカレのスタートから3年。まちづくり協議会(まち協)など各種団体の後継者不足がいわれる中、以前はまちづくり活動に関わっていなかった市民を“舞台”に引き上げたのは大きな収穫だ。

 まちカレは、市がまち協などへの支援策として、地域の人材の掘り起こしを目的に2016年に始めた。受講生は座学や現地視察などの講座を通して、活動の意義や実践法を学ぶ。

 希望する修了生は、まちカレでの学びを生かして具体的な活動を提案し、まち協とのマッチングを図る「まちづくりプランミーティング」に参加。避難所生活体験は、ここでの提案を実践する初の「まちづくりラボラトリー事業」の一環として、大関地区に住む1期生の藤田佳子さんが中心となって実行委を立ち上げ企画した。

 藤田さんの提案は、まち協や保護者を主体に自然や文化体験を通した人材育成を行う「大関こども部屋」と題した活動。体験は、昨年度に同地区が「大関助け合いのまちづくりプラン」で掲げた計画を融合した。住民や地域の団体に助け合いの精神を養い、同地区ならではの「人育て」につなげていくことを目指した。

 体験には大関小児童と保護者計16人が参加し、市や地区の消防団員、日赤奉仕団員、食生活改善推進委員らの協力で、段ボールベッド作りや電気を使わない炊飯などに挑戦。藤田さんは全体の進行も担当し、「仲良くなろう」と分かりやすく呼びかけた。

 同校2年の高橋咲希さんは「一人だときっと寂しいと思う。どうしたらみんなで協力して過ごせるかを考えたい」と力強く話していた。力を貸してくれる大人たちの姿を目の当たりにして、地域を生きる一人の当事者として、地域を見つめる大切さを子どもながらに感じていたようだ。

 独自の歴史や生活意識がある地域のまちづくりは、住民や自治体、各種団体が主体となる必要がある。一方で、それぞれが対等の立場でパートナーシップを発揮するには、各団体の橋渡しとなり、地域の課題を総合的に解決していくコーディネート力が欠かせない。主要なプレーヤーの一人としても、まちカレの成果が今後、各地に広がっていくことを期待したい。

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