【論説】国内で年間600万トンを超える食品が、まだ食べられるのに捨てられているという現実をどれくらいの人が知っているだろうか。これを国民1人当たりに換算すると、おにぎりを毎日1個から2個捨てている計算になる。なんとももったいないことだ。

 売れ残りや食べ残し、いわゆる「食品ロス」を減らそうという取り組みが、県内の小売店や飲食店で広がっている。私たち一人一人にも何ができるか、考えてみたい。

 食品ロスを巡っては、売れ残った節分の恵方巻きが大量に捨てられた様子が会員制交流サイト(SNS)などで発信され、社会問題化した。10月1日には食品ロス削減を推進する法律が施行され、政府が食品ロス削減の基本方針を策定すると明記したほか、自治体には具体的な推進計画を作る努力義務を課した。世界的にも関心が高まっており、先に新潟市で開かれたG20農相会合では、閣僚宣言に食品ロスの削減を主導していくことが盛り込まれた。

 こうした動きの中、県内でもさまざまな試みが始まっている。

 PLANTは、消費期限や賞味期限が近づき値引きされた食品を3点以上買った顧客に粗品を進呈する取り組みを、県内外の店舗で実施している。以前はそれぞれの売り場で値引きを行っていたが、肉や野菜、パン、乳製品などの値引き商品を1カ所にまとめるなど工夫したことで、廃棄による売り上げの損失が2割減ったという。県民生活協同組合は、家庭で余った食品を買い物客らに持ち寄ってもらい福祉施設などに寄付する「フードドライブ」を県内ハーツ全店で行った。

 県も2006年から「おいしいふくい食べきり運動」と銘打ったキャンペーンを展開。飲食店を対象に、小盛りメニューの設定など食べ残し削減に向けた取り組みを呼びかけ、協力店は当初の約400店から約1100店にまで増えた。

 小売店や飲食店などでは意識が着実に高まっており頼もしい限りだが、それだけでは十分とはいえない。というのも、国内の食品ロスの内訳をみると、家庭からの廃棄が全体の4割超を占めている。家庭でどう削減に取り組むのか、一人一人が自分の問題として心掛ける必要がある。

 例えば▽買い物前に冷蔵庫や食品庫にある食材をチェックする▽必要な分だけ買って食べきる▽残っている食材から使う▽外食時には食べられる分だけ注文する―など。どれも難しいことではなさそうだ。今日から始めてみてはどうか。

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