【論説】全国に誇れる福井の美しい星空を「地域ブランド」として観光などに生かそうという機運が盛り上がってきた。人工衛星が捉えたデータを基に、屋外照明など人工的に放出される光の量を調査分析し、美しい星空を保護する活動も始まろうとしている。

 ■大野が連続日本一■

 大野市は2004年に同市大矢戸、05年に六呂師高原が、環境省の「全国星空継続観察」(現在は休止)で夜空の暗さを示す数値が最も高く“星空日本一”に輝いた。六呂師高原は星空観測のメッカとなっている。

 星空の価値は「夜空の明るさ」で評価され、背景が暗いほど星が美しく見える。照明の設置方法や配光が不適切で星が見えにくくなる「光害」の影響が小さいほどよい。

 NPO「国際ダークスカイ協会」(本部米国)は、美しい星空が見える場所を「星空保護区」として認定している。世界に約120カ所あり、日本では今年、沖縄県石垣島が初めて認定された。同協会の基準に照らすと、福井県の山岳部は光害の影響が小さく、天の川が見ることができる非常に良好な夜空と評価できる。

 ■イメージアップ■

 美しい星空を観光資源として活用する動きが、ニュージーランドや英国など世界的に広がっている。国内でも長野県阿智村や、「星取県」を宣言した鳥取県などが熱心に取り組み、イベントなどによる宿泊者増や関連商品の開発につなげている。

 県内でも六呂師高原で夜空にスカイランタンを飛ばし、写真映えする景観を楽しんだり、勝山市小原地区を舞台に地域住民と鉄道会社、大学が連携した星空観察ツアーが企画されたりして、県内外から多くの参加者があり好評だった。

 17年には星や空、宇宙にまつわる魅力を「宙(そら)」と称して発信し、観光事業などを展開する「宙ツーリーズム推進協議会」が発足。県内からは大野市と福井工大が加盟しており、観光庁の地方誘客事業にも採択された。美しい星空は地域のイメージアップにもつながり、今後も有望な観光資源となりそうだ。

 ■人工衛星で分析■

 一方、懸念されるのが光害の広がりだ。福井県についても、人工衛星が撮影した画像をみると近年明るいエリアが拡大。六呂師高原にも市街地の照明が影響を及ぼしつつあるという。

 そこで福井工大では、超小型人工衛星で観測したデータを地域貢献に生かす「ふくいPHOENIX(フェニックス)プロジェクト」の研究テーマの一つに光害対策を掲げた。

 人工衛星で夜間の福井県内を撮影し、屋外照明で漏れる光の量などを観測する。地上では多地点で夜空の暗さを計測、どの程度光量を抑制すれば美しい星空が見られるのか分析する。人工衛星は宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケットに搭載し、来年にも打ち上げる予定だ。

 こうしたデータを基に照明対策などを提案する。同大電気電子工学科の中城智之教授は「『福井モデル』として発信できれば」と語る。

 ただ、美しい星空を守るには住民の理解や関係する自治体の連携が欠かせない。星空に関係する団体や自治体が連携し、福井の星空の価値をPRするとともに、自治体間で協力できる体制を築きたい。

 「街は明るいばかりがよいのでなく、暗くすることにも価値がある」(中城教授)と発想を切り替えることは、より快適な都市環境づくり、ひいては福井人の幸福度アップにもつながるだろう。

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