【論説】被災地に行って泥かきなどに汗する姿はボランティアの常道ともいえる。今、広範囲に及ぶ台風や豪雨禍が伝えられる中、なおさらだろう。

 ただ、そうした活動は小中高校生にはハードルが高い。本年度の福井県ボランティア作文コンクールの入賞作品を見ると、さまざまな活動を通じて奉仕の心を育んでいる様子がうかがえ、頼もしい限りだ。

 小学生最優秀賞に輝いた1年女子児童は園児の時、ホスピス病棟で歌った経験を記す。当初「いのちにかぎりがあるひとたちが…すごしているところ」と聞いて「でたくない」と言い出す一幕も。母親に促され、姉とともに練習に励んだ。

 本番では、点滴をした人や髪のない若い女性らを前に元気よく歌を披露。患者も真剣に聞いてくれ、中には「もっとながいきしたくなったよ」と言う患者もいて「わたしもどうしてかわからないけど なきそうになりました」と素直な反応が読む者の胸を打つ。

 この児童は、治療で髪がなくなった人に自身の髪を贈る活動にも取り組み、髪を伸ばしている。歌や髪をプレゼントすることに喜びを感じている。その姿は大人にもまぶしく映る。

 中学生最優秀賞の2年女子生徒は得意の三味線演奏を生かした老人ホーム慰問を記している。三味線の先生の勧めで、慰問を重ねていく中で「皆さんの笑顔を見られることが楽しみで仕方なくなりました」とボランティアの妙を体得する。

 祖父母を亡くしているこの生徒は、お年寄りが苦労話などを涙ながらに話すのを聞き「私まで涙が出てしまうこともあります」とつづる。中には相談に乗ってくれる人もおり「私自身…多くの喜びと学びを得ることが出来ている」と成長の糧にもなっている。

 高校生最優秀賞の2年女子生徒は、小学生の頃から毎年、家族と海岸清掃に励み、中学1年時には東京であった「ボランティアフェスティバル」に参加。身近な問題から紛争問題まで、他の参加者らとともに解決策を話し合ったという。

 こうした経験を通して、「やってみたい」と思う活動をネットや新聞から見つけるようになり、いろいろな活動に取り組んでいる。「一番印象的だった」ことに東日本大震災の被災地支援活動を挙げた。高校生の域を超えた活動であり、家族の後押しあってのものだろう。被災者が涙を流しながら歌を聞いてくれたり、手を強く握りしめて感謝してくれたりする姿に「助けられていたのは自分自身」だと気付いたという。

 応募作は、福井国体・障スポのボランティアや学校を挙げた地域活動など多岐にわたる。その経験を未来へと紡いでもらいたい。

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