成績提供システムを希望する高校2年生に配られた共通IDの発行申込案内

 「判断が遅すぎる」「青天のへきれき」―。11月1日、大学入学共通テストへの英語の民間検定試験の導入が見送られ、福井県内の高校関係者からは、戸惑いの声が上がった。準備を進めてきた高校2年生は、不確定要素が消えたと胸をなで下ろしつつも「決めるなら早くしてほしかった」と不満を口にした。

 この日は、民間試験の成績を管理する共通ID発行の受付開始日。進学を予定する2年生の多くは既にIDの申込用紙に記入し、学校ごとに送付する直前だった。

 「延期すれば大きな混乱を招く」として、予定通り実施するよう求める立場にあった県私立中学高校協会。荻原昭人会長(啓新高校校長)は「大多数の生徒が準備を進めてきたが、その心情がひっくり返され遺憾。さあ今からという状況の中であり、青天のへきれき」と顔をしかめた。

 県立高校のある教頭は「既に対象となる英検の受検料支払いを済ませている2年生もいるかもしれない。確認が必要だ」と話した。

 一方、県高校校長協会の田中幸治会長(藤島高校校長)はこれまでも地域、経済格差が指摘されていた点を挙げ「福井で受験できるのは英検かGTECに限られ、受験生が自由に選べない状況だった」。10月になっても不明な点が多かったといい、延期自体は「妥当な判断」とした。

 今後の進め方について、両会長は「現場の声を真摯に聞いてほしい」と求めた。

 藤島高校2年の女子生徒は「内容が全然定まっていないテストのために勉強するのか、と思っていた」とこぼす。不安が大きかった分「気持ちは楽になった。でも決めるなら、早く決めてほしかった」。今の高校2年生は、県独自に始めた県立高入試での英検活用“元年”にも当たっており「あの時みたいに、また土壇場で変えるのか…」と言葉を続けた。

 「僕らは民間試験を受ける日程を自分たちで考え、準備してきた。国は判断する時期が遅すぎる」と政治の迷走ぶりを冷ややかに突き放したのは、武生高校2年の男子生徒。昨年は英検、今年はGTECを受け、大学受験に備えて自分に合った試験を見極めていたところだ。県外大学の医学部を目指しており「民間試験対策は一区切りつけ、自分のやるべきことをやっていく」と前を向いた。
 

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