【論説】関西電力の役員らが高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から金品を受領した問題で、同町は近く調査委員会を設置する。町関係者を除く第三者の委員が野瀬豊町長を含め現幹部職員、特別職OBらに聞き取りする。森山氏からの金品受領の有無、町役場に及ぼした影響など徹底解明が求められる。

 森山氏が助役を務めたのは1977~87年。約30年以上前になるが、退任後も教育委員などとして町と関係を持ち続けた。また地元の建設会社「吉田開発」顧問や、兵庫県高砂市のメンテナンス会社相談役、関電子会社顧問を務めていたとされ、影響力は小さくなかったとみられる。

 問題発覚以降、役場には町と森山氏との関与を疑う抗議の電話、メールが相次いだ。森山氏と役場とはどんな関係にあり、公共工事への影響はなかったのか。町に対して町内外から厳しい視線が注がれている。

 「現行政の潔白を証明したい」と野瀬町長は強調する。初当選した2008年以降に数回、森山氏からそうめんや数の子といった贈答品を受け取っていたことを明らかにした。「贈答品は儀礼の範囲。金品の受け取りはなかった」と果物などを返したという。1期目当初は森山氏と数回、顔を合わすことはあったといい「原子力行政の判断について、あの方から私が指示を受けたことはない」と明言する。

 「連日、高浜が取り上げられイメージダウンになった」と町民は憤る。原発立地自治体とその町民に対して全国から疑念が向けられている。それらを拭い去り、町民の信頼を取り戻すきっかけになってほしい―。調査委に、こんな期待をする声もある。

 先行して町監査委員の調査が行われている。吉田開発や取締役を務めていた警備会社との過去の契約について適正だったか調べており、結果は明らかにされる見通しだ。

 町は原発と共存共栄してきた。財政面で苦しかった町は原発とともに発展し、国のエネルギー政策を長らく支えてきた。しかし関電はその歴史よりも森山氏を重視した。その一方で、関電は報告書の中で森山氏の人格の特異性を強調し、同氏に問題の全責任を負わせているようにみえる。

 その関電の第三者委員会の調査は13日に始まった。森山氏が関電役員らに多額の金品を提供したのは工事情報提供の見返りだったのか。発注額、発注プロセスは本当に適正だったのか。疑問は少なくない。うみは出し切れるだろうか。

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