【越山若水】きょうから2週間にわたる読書週間が始まる。昨今のネット社会の進展、AI時代の到来などを理由にした本離れの指摘に反論の余地はない。だが仕事にかこつけ日頃遠ざかっているだけなら、この機会に改めて本を手にとってみてはいかがだろう▼というのも、直木賞作家で古書店を営む出久根達郎さんがそのエッセーの中で「かくれんぼ読書」と名付けた読書術を紹介している。「一度、隠す。久しぶりに現れた書物はひどく新鮮で、その場で読みふけってしまうことがある」。自宅の書棚に眠る本が、ひょっとしたら、読書習慣を覚醒させてくれるかもしれない▼本好きにとって、本選びはなによりも楽しみの一つ。だが「本をどう読むのか」とは思いもよらなかった。ほぼ我流だったと気づかされたのが芥川賞作家、平野啓一郎さんの「本の読み方」(PHP文庫)▼「本を読むためには、料理を作ったり、車を運転したりするのと同じで、それなりに技術が必要」という。「書き手の仕掛けや工夫を見落とさない」など、作家ならではのうんちくに富んでいる▼新刊とは別に古書ファンは根強い。全国的に地域の古書店は減少傾向の中、福井県古書籍商組合加盟は9店と、ほぼ横ばいとかでほっとする。郷土史、地域色豊かなものなど、さまざまなジャンルがそろう。捜し続けた本に巡り合った時の喜びは、また格別だ。

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