ベテラン農家で研修する就農者2人(左から3、5人目)の下を訪れ、独立に向けて話をする三里浜砂丘地農業支援センターのメンバー=福井県坂井市三国町

 福井県内の新規就農者は、この3年間は約90人で推移し10年前の倍以上に増えている。特に県内有数の園芸産地では、園芸カレッジでの指導、就農時の農地あっせん、就農後の定期巡回など各機関が連携し切れ目なく支援する形が確立しており、就農者を技術、経営の両面で手厚くフォローしている。整った環境を追い風に、県は新規就農のさらなる促進を図る。

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■右肩上がり

 県内の新規就農者は、県によると2009、2010年度は40人だったが、2015年度は80人、2016年度以降は約90人と増えている。特に、農地や農機の初期投資が少なくて済む園芸は水稲より就農しやすく、2012年度は19人だったが2018年度は52人と右肩上がりになっている。

 県は2014年度に園芸カレッジを開設し、U・Iターン者を中心に就農希望者を受け入れ指導している。研修生が圃場を管理し、技術や経営を実践的に学んでおり、これまでに113人が修了した。

 ■「集中できる」

 カレッジで基本を学んだ後は、営農をサポートする機関が、就農から経営が軌道に乗るまで寄り添う。

 県内有数の園芸産地である三里浜砂丘地(坂井市、福井市)と坂井北部丘陵地(あわら市、坂井市)にはそれぞれ、各市や県、JAなどでつくる「三里浜砂丘地農業支援センター」「丘陵地農業支援センター」があり、空いている農地や住居のあっせんなど、就農時に必要な支援を行っている。

 就農後も月に1回訪問して、相談や指導を行う。行政やJAなど各機関の担当者がそろって巡回するため、就農者は技術や経営面などさまざまな相談をすることができる。巡回担当者は綿密に会合を開いており、就農者が抱える課題を共有し解決策を協議するなどしている。

 三里浜の支援センターは9月下旬、管内のベテラン農家で里親研修中の2人を訪問した。この2人は大阪府からIターンし、12月に独立する予定。農地はセンターの紹介ですでに確保しているという。巡回時には、ハウス建設や住居探しなどについて話し合った。研修中の男性(48)は「よそ者が自分で農地を借りるのは大変。支援のおかげで研修に集中できる」と話していた。

 ■100人の大台へ

 資金援助に関しても県独自の制度がある。年最高150万円が最長5年間交付される国の制度は50歳未満という要件があるため、県は50歳以上対象の制度を設けている。県外出身者の家賃や農具購入などに対する助成もある。

 三里浜センターの山田誠一事務局長は「見本もシナリオもなかったが、試行錯誤しながらできあがったシステム」と胸を張る。

 県の2019~2023年度の農業政策の指針となる「新ふくいの農業基本計画」では、年間の新規就農者を100人に増やすことを目標に掲げている。県園芸振興課は、都市圏でのU・Iターン相談会などを断続的に開催し「就農しやすい環境が整っていることをアピールしたい」としている。

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