【論説】関西電力幹部の金品受領問題で「言語道断。由々しき事態」などと非難した当の本人が、選挙区内の有権者の葬儀で秘書を通じて香典や枕花を渡していたという。しかも、過去に贈答品を提供していた疑惑の渦中でのこと。事実ならば公選法違反であり、言語道断。衆院議員も辞すべきだ。

 菅原一秀経済産業相が安倍晋三首相に辞表を提出した。首相官邸が辞任を検討するよう求めており事実上、更迭された格好だ。過去の疑惑には逃げ切れると思っていた節があるが、葬祭場で香典を渡す菅原氏の公設秘書の姿が週刊誌に報じられ、一気に更迭へと動いたとみられる。

 菅原氏はこれまで度々、スキャンダルが浮上しており、こうした人物の「身体検査」が不十分なまま閣僚に起用されたこと自体が政権の緩みにほかならない。菅義偉官房長官の側近中の側近とされ、菅氏の強い推薦で起用されたという。菅氏の責任は無論、任命権者である安倍首相の責任が大いに問われる。

 週刊誌によると、菅原氏の公設秘書が今月、地元の東京都練馬区の葬祭場に香典を持参したほか、事務所から故人への枕花を発注した疑いがある。大型連休前後には後援会幹部にリンゴを配ったとされる。これ以外にも、菅原氏は2006年から07年にかけて地元の有権者にメロンやカニなどを贈っていたとも報じられている。

 公選法は政治家が選挙区内の有権者に、金品などを提供することを買収行為とみなして禁じている。例外として本人が出席する葬儀の香典や結婚式の祝儀などは認められている。しかし、秘書らが代理として渡すことは違法だ。

 菅原氏は今回の件で、翌日、自身も香典を持って行き一つは遺族から返却されたと釈明している。例外で認められている行為だと言いたいのだろうが、国会で過去の疑惑を追及されている最中であり、信じ難い。

 問題は、秘書による香典や枕花の提供が常態化していたとも報じられていることだ。菅原氏は関電問題で「事実関係を徹底解明して、厳正に対処する」と強調。法に基づき、関電に報告を命じるなど厳しい姿勢を見せていた。その矛先は今度は自らに向けられている。辞任で幕引きすることは許されず、真相を国会で説明する必要がある。

 安倍政権では過去に、政治団体の不明朗な資金流出を巡り小渕優子経産相、建設会社からの金銭授受問題で甘利明経済再生担当相が辞任に追い込まれているが、本人による十分な説明責任は果たされていない。辞任すればうやむやにできる、そんな姿勢が国民の政治不信を増幅させてきたことを忘れてはならない。

関連記事