BCP策定メリットのイメージ

 10月12、13日に列島を直撃した台風19号は東日本の広範囲に甚大な被害をもたらし、経済への影響が必至となっている。昨年7月の西日本豪雨でも、工場の生産停止や店舗の休業が相次ぎ、被災地の暮らしや経済活動に打撃を与えた。全国で地震や大規模な水害が相次ぐ中、重要性が増す企業の「事業継続計画」(BCP=Business Continuity Plan)について探った。

 自治体や道路、鉄道、通信などインフラ企業のBCPを手掛ける防災コンサルティング会社「サイエンスクラフト」の(本社福井県越前市)代表取締役、井上和治さん(69)は「BCPで災害時に最低限の業務を継続させたり早期復旧したりすることは、事業拡大やブランド力向上にもつながる」と指摘する。

 ―BCPとは。

 「災害発生時など不測の事態に備え、社員や施設、機器の事業リソース(資産)について災害時の対応方法を前もって規定しておくもの。例えば1時間雨量何ミリ以上なら出社しないとか、業務や取引先の優先順位を決めておく。通常の事業活動が中断しても優先すべき業務を極力継続させて、サービスのレベルを保ちつつ、許容される期間内に復旧できるかがカギになる」

 「初めて注目を集めたのは(2001年9月11日の)米中枢同時テロ。飛行機が突っ込んだビル内にあった保険会社が翌日に営業を再開した。元々は台風を想定した計画を準用した。米国でも日本でも話題になり世界に広がった」

 ―BCP策定の利点は。

 「災害発生時など不測の事態でも、策定してあれば操業率の落ち込みを抑えることができる。(取引先などに)許容されるサービスレベルに保ち、さらに許容される期間内に災害前のレベルに復旧できる。反対に備えを行っていない企業は復旧が遅れる。事業縮小が余儀なくされ、廃業に追い込まれる恐れもある」

 「策定企業はサービスレベルを最低限、保ち続けたことや、早期復旧により信頼を得ることができる。未策定の競合他社が事業縮小し信頼も低下していくと、場合によってはその分を取り込んで災害前よりも事業拡大することまで期待できる」

 ―台風19号は東日本各地に甚大な被害をもたらした。

 「台風(風水害)から施設や従業員を守る防災計画は、BCPの有無とは関係なく、立てておくべきもの。加えてBCPがあれば、防災計画がより現実味を帯びる。今回の台風でも、BCPと連動した防災計画をしっかりと立て実行していた企業は、被害が軽減され、結果として素早い復旧を果たしているようだ」

 ―福井県内の状況はどうか。

 「福井は地震が起きない、水害も少ない、安全な地域だと思われている。大企業ほど余裕がない中小企業が多いこともあり、福井ではあまり普及していない」

 「福井の災害発生率の低さから、南海トラフ巨大地震を警戒する地域の企業に対して『流通面でのリスク分散のため取引先としてどうですか』ということが福井の企業の一つの売りになる。その場合に、BCP策定済みだと防災対策がしっかりした会社であると強調できる」

関連記事