深夜帯ダイヤの見直しなどについて、記者の質問に答えるJR西日本の来島達夫社長=10月24日午後、大阪府大阪市

 JR西日本は10月24日、近畿エリアの在来線で、午前0時以降を中心に深夜帯ダイヤを見直し、終電の時間を繰り上げる検討を始めたと発表した。線路のメンテナンスを行う作業員の労働環境を改善し、働き手を確保する狙い。2021年春以降のダイヤ改正での実現を目指す。同社は「午前0時はあくまで目安で、利用状況を基に検討を進めたい」としており、見直し内容は今後、接続する私鉄各社や地元自治体と調整する。

 JR西によると、近畿エリアでは現在、毎日100カ所以上で最終列車の運行後、計約1500人の社員や建設会社従業員が線路などの保守作業をしている。働き手の減少で土日の休みが取りにくく、若い人がこうした環境を敬遠する傾向にある。

 終電時間を繰り上げることで一晩当たりの作業量が増えるため、休みを取りやすくなり、作業員の確保につながるとしている。来島達夫社長は記者会見で「若い人が働きやすい環境づくりは喫緊の課題だ。利用者のご理解を賜りながら将来にわたり鉄道を安全に運行していきたい」と述べた。利用者の労働時間などを念頭に「ライフスタイルを考えてもらう機会にしてほしい」とも強調した。

 大阪駅では18年度の午前0時台の利用者数(平日平均)は13年度の83%にとどまり、京都駅や三ノ宮駅(神戸市)でも同様の傾向がある。企業などで働き方の改善が進んでいるためとみられ、こうした要因も考慮した。

 同社によると、現在、主要駅で平日午前0時台に出発する列車は京都駅で8本、大阪駅で15本、三ノ宮駅で14本ある。仮に大阪駅発の最終電車を午前0時に繰り上げた場合、年間の保守作業の日数は1割程度減らせるという。

 JRの繰り上げは私鉄各社のダイヤ変更に波及する可能性がある。私鉄から困惑する声が上がったが、具体的な調整はこれからになりそうだ。

 JR西によると大阪駅の2018年度1日平均の乗車人数は約43万人で、JR東日本の横浜駅を上回る。大阪駅に近接して阪急電鉄と阪神電気鉄道それぞれの大阪梅田駅があり、JRと私鉄を日々乗り換える通勤客は多い。

 JRが終電を前倒しすれば人の流れや混雑する時間帯は変わりそうで、阪急の広報担当者は「どの程度の影響があるか分からない。ダイヤの変更も含めて今後検討しないといけない」と困惑気味だった。阪神の広報担当者は「調整が必要になるかどうかも分からない」と話した。

 大阪の南の玄関口としてにぎわうJR天王寺駅には近畿日本鉄道の大阪阿部野橋駅が近接する。近鉄は「詳細が分からないので何とも言えない」とするにとどめた。大阪市のJR新今宮駅で接続する南海電気鉄道は「動向を注視する」とした。

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