【論説】西武福井店の新館が2021年2月末で閉鎖されることになった。北陸新幹線の県内延伸が3年半後に迫り、福井駅周辺の再開発計画が進む中、同店は中心市街地にぎわい創出の核の一つに位置付けられてきただけに、撤退は一部とはいえ影響は小さくない。

 そごう・西武の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは一連のリストラ策で▽西武大津(滋賀県)▽西武岡崎(愛知県)▽そごう徳島(徳島県)▽そごう西神(兵庫県)▽そごう川口(埼玉県)―の5店舗を閉鎖、西武秋田(秋田県)と西武福井店の店舗面積を縮小すると発表した。このうち福井店については、新館を閉鎖して黒字を保つ本館の活性化に注力し、成長軌道への復帰を目指すとしている。

 西武福井店の新館は旧パルビルを改装し、1999年9月にオープンした。地上6階、地下1階、連絡通路で本館と結ぶ構造で、若者向けファッションやロフトなどの人気ブランドを一堂にそろえ、オープン時は中心市街地活性化の起爆剤として期待を集めた。

 ただ、地方の百貨店を取り巻く状況は福井のみならずどこも厳しさを増している。インターネット通販の普及で、店に足を運ばなくても気軽に買い物ができるようになった。人口減少が進み、消費税増税による消費低迷も懸念される。郊外店舗との競合も課題だ。

 西武福井店は、ピーク時の93年2月期には本館の売上高が255億3800万円に上ったが、直近5年間は右肩下がり。2019年2月期は115億5500万円(うち新館は約26億円)にまで減少した。本館は営業黒字を確保しているが、新館は15年2月期から赤字が続いていた。

 セブン&アイの井阪隆一社長はそごう・西武について「採算性の改善が困難な店の閉鎖を決断した」と述べ、今後は収益が見込める首都圏の店舗に経営資源を集中するとした。経営論理としては理解できる。ただ、地方にとって百貨店は街のシンボルであり、地域経済に与える影響も考慮すべきではなかったか。

 現在新館に入る店がどうなるかは今後関係者が協議して決めるという。いずれにせよ閉鎖後のビルの活用策については早急に検討しなくてはならない。新館閉鎖の時期は、福井駅前電車通りを挟んだ通称「三角地帯」の再開発事業の工期と重なるため、人通りが減らないようにイベントなどの工夫も大事だ。市街地の空洞化を避けるために行政や地域、経済界が一体となって知恵を絞る必要がある。

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