【論説】天皇陛下が内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」が皇居・宮殿で執り行われた。陛下は玉座「高御座(たかみくら)」でお言葉を述べた。

 まずは退位された上皇陛下に触れ「常に国民の幸せと世界の平和を願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その御心(みこころ)をご自身のお姿でお示しになってきたことに、改めて深く思いを致し」と、歩みを継承する姿勢を示された。

 皇太子時代から戦没者慰霊や被災地慰問を重ねられた上皇さまと上皇后さまのお姿は「平成流」として国民の共感を呼び、大きな支持を集めた。その流れを陛下が受け継がれることは自然なことといえるだろう。

 お言葉では「国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」とも述べた。政府は当初、パレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」を予定通り行う考えだったが、台風19号の甚大な被害を踏まえた陛下の強い思いにも配慮し、延期へと方針転換したとされる。

 即位から約半年、陛下と皇后さまは各種式典や宮中祭祀(さいし)などにも積極的に取り組まれた。今年2月の陛下の誕生日会見で「国民の中に入り、国民に少しでも寄り添う」と語られた言葉通り、参加者や施設入所者らにも気さくに声を掛けられている。上皇さまの負担軽減のため、式典でのお言葉はなくなっていたが、陛下が復活された経緯もある。

 留学経験のある陛下と外務省のキャリア官僚だった皇后さまは語学が堪能とあって、通訳なしで外国の賓客と話されるなど、国際親善に寄与する新たな皇室像も期待される。皇后さまは体調が心配されるが、この半年は行事などにほぼ同行されており、単独のご公務もこなされているという。

 お言葉は5月の即位後朝見の儀のものにほぼ沿った形だ。整合性の点からもやむを得なかったのだろうが、新たな模索を感じさせるものが欲しかったとの指摘もある。政府の意向も踏まえる必要もあろうが、ご公務などを通じて「令和流」の新たな象徴天皇像を一歩一歩築いていかれることを願いたい。

 一方で、儀式の在り方など課題も残った。代替わりに際して時間があったのにもかかわらず、準備委員会は3回、計1時間余の会合で「前例」踏襲を決めた。このため、政教分離など憲法に触れかねない要素も踏襲された格好だ。

 政府は先細りする皇室をどうするかも真剣に考えなければならない。退位特例法の付帯決議には「安定的な皇位継承」「女性宮家の創設」などについて、天皇の即位後、速やかに検討するよう求めている。政府もその意向という。ならば急ぎ対応する必要がある。

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