【越山若水】実在と系譜が明らかな最初の天皇といわれているのは第26代継体天皇である。「日本書紀」によると近江に生まれた継体は、幼いうちに父が亡くなったため、母の故郷である越前三国で育ち、507年に樟葉宮(現大阪府枚方市)で即位した。58歳だった▼それから千五百年を超す時を経て、きのう令和の「即位礼正殿の儀」が執り行われた。玉座「高御座(たかみくら)」に天皇陛下が立ち、三権の長ら国内外の代表を前に即位を宣言された。伝統に基づく平成の儀式を踏襲しつつ、大型モニターを設置するなど最新技術も用いられた▼「国民の幸せと世界の平和を願われた」上皇さまの心と行動を受けとめ、「国民に寄り添い」象徴としての責務を果たすという陛下のお言葉に、理想とする天皇像がうかがえた▼継体は即位後、大和に入るまで20年近くを要したとされる。反対勢力があったとの見方もある。5世紀後半から6世紀前半にかけては古代国家の転換期だった。国内政治は不安定で朝鮮半島情勢は緊迫していた。その一方大陸の進んだ文化や技術が受け入れられた。難局を乗り越え継体は天皇制の土台を据えた▼古代から現代まで変わらない側面と変わった側面がある天皇制。時代が求める天皇像が変化する中、陛下は国際社会の平和を強調し「人類の福祉と繁栄に寄与を」と国民に語りかけられた。その願いを重く受けとめたい。

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